みなさんこんばんは,修士1年になりました鹿野です.本当に久しぶりの投稿になります.
以前の投稿では修士2年の長澤さんがファーストパス受信までのドラマを投稿していただいたので,今回はまた別のエピソードを紹介したいと思います.今回はひろがりの「追跡」に焦点を当てたいと思います.
なぜ追跡する必要があるのか
一言で言ってしまえば「通信をするため」です.
ひろがりは高度400kmの低軌道衛星であり,おより90分に地球を一周します.地上局から見ると,長くても約10分で空を横切ってしまいます.そこで,ひろがりと通信するためには軌道を正確に把握し,地上局のアンテナを向けてあげる必要があります.
また,ドップラーシフトを補正するためにも軌道情報が必要です.ひろがりは一定の周波数(145.9MHz)で電波を出していますが,高速で移動しているため,サイレンを鳴らした救急車が近づいてくると音が変わって聞こえるように,観測される電波が変動します.この変動をドップラーシフトと言い,補正するためには衛星の位置情報が必要なのです.
準備(謎の組織18SPCS)
ひろがりがISSから放出される1週間ほど前に衛星を追跡するアメリカの組織18SPCSに追跡依頼をだしました.恥ずかしいことに18SPCSについて全く知らなかったのですが,地上に設置された巨大なレーダーで軌道上の物体を追跡している組織です.最近だと中国のロケットが制御不能な状態で大気圏再突入したニュースが話題になりましたが,このときロケットを追跡していたのもこの18SPCSになります.
上でも紹介したように,衛星を運用するためには軌道情報を把握することが必要不可欠となります.しかし,超小型衛星を運用している大半の団体でもいえることですが,宇宙にある衛星を観測して軌道情報を計算することは不可能に近いです.そのため,無償で衛星を追跡して軌道情報を公開してくださる,18SPCSは非常にありがたい存在です.
慣れない英文メールで18SPCSの担当者の方と,ひろがりの大きさ・ISSからの放出時期といった地上から観測する際に必要な情報のやり取りを行います.担当者の方は自分の下手な英語にも親切に返信をくださいました.ふと担当者の方の署名欄を見てみると
18th Space Control Squadron
United States Space Force
の記載があるではないでしょうか!このときはじめて18SPCSがアメリカ宇宙軍の組織であることを知りました.まさか大学生の間にアメリカ宇宙軍とやり取りすることがあるなんで思ってなかったので驚きました.
次回はISS放出後について書きたいと思います!
