年末ですね、皆さんいかがお過ごしでしょうか
私は風邪引いたり背中に謎の腫れができたり健康に不安を抱えています。

さて、今日は最近の超小型衛星界隈のニュースについて雑感を書きたいと思います。
チラシの裏にでも書いとけやという内容な上にわりと専門的なのですが何年か前のブログを見てみると結構専門的なことも書いてあったようなので気にせず書きます。長澤のブログもなかなかでしたし。
なおこれらは個人の意見であり、衛星開発は趣味みたいなものなので間違いを言っている可能性があります、見つけましたらコメントください。

トピックスとしては2つありまして
一つは先日発表された「革新的衛星技術実証2号機
もう一つが11月末にAmazonが発表した「AWS Ground Station」になります。

というわけでまず一つ目、革新的衛星技術実証プログラムから
このプログラムは内閣府とJAXAが組んでやってるもので、「宇宙で新しい凄いことするならロケットで打ち上げてあげるわ」といった感じのものです。
第一弾1/17に打ち上げが決まっていて、第二弾の「凄いこと」を募集して採用されるものが決まったというのが今回のニュースです。
今回採用されたもので自分の琴線に触れたものをサクッと3つ紹介します。

・ソニー製マイコンボード 「SPRESENSE
これは衛星の制御をするコンピューターとして使えるユニットです。
SPRESENSE自体はArduinoやらmbedやらNucleoやらESP32やらがあふれるホビー向けマイコンボード市場にソニーが引っ提げて殴り込んできた製品です。さすがソニーと言いたくなるような優れた性能と低消費電力が武器なのですが引き換えにアーキテクチャもソフトウェアもドキュメントも複雑というピーキーさも持っています。
このSPRESENSEがどう「新しく凄い」かといいますと、人工衛星というのは大抵電力が限られていますのでこのような少食で力持ちな奴は大変便利なわけです。
これはまあ当たり前として別のポイントとしてSPRESENSEのメインICである「CXD5602」が「FD-SOI」という構造のICであることがあると思います。(要出典・個人の妄想)
FD-SOIは放射線による故障がおきにくい(具体的にはSEEのうちSELが起きない)構造なので、地上より放射線が多い宇宙ではもってこいなわけです。FD-SOI採用の主目的は低消費電力なのですが嬉しいおまけとして放射線耐性を手に入れたわけですね。放射線耐性のあるICは無いわけではないのですがこのSPRESENSEは民生用量産品のため価格が安いというのも素晴らしいところです。
といっても放射線によるTIDとSEUは考慮する必要がありますし、メインIC以外には一般のICですのでシステム全体の信頼性はなんともいえませんが……
今回のプログラムで放射線耐性が実証されると「高性能・低消費電力・放射線耐性・低価格」という素晴らしい製品になるわけです。我々の次期衛星に是非使用したいところですね。

可変形状による姿勢制御
東工大の松永先生のプロジェクトで一瞬Origamiの系譜かと思ったのですがあちらは坂本先生なので違うようです。
超小型衛星は大型衛星と違いフライホイールやスラスターなどの姿勢制御機構を持てないので姿勢制御というのは頭の痛い問題です。
そんな中で構体を利用して姿勢制御ができるのはなかなか魅力的な話です。
宇宙空間で何度も動かせるメカと形状変化による軌道寿命を考える必要があるので我々にはまだまだ遠いですね……

・高専Cubesat
高知高専の先生が代表者となっているCubesatですが恐らくは高専スペース連携として複数の高専が連合を組んで行っているもののはずです。
高専スペース連携はH26-28で我々のPERSEUSプロジェクトと同じ文部科学省の宇宙航空科学技術推進委託費受けていたので我々の先輩にあたります。またH29からも引き続き採択されているようです。

我々もPERSEUSプロジェクトの終了後も採択されるような取り組みを続けていきたいものです。

ミッションとしては木星の電波天文とそのための新構造アンテナ、RaspberryPi Zeroを衛星制御に利用するということの二本立てのようです。
初代RaspberryPi(メインICがBCM2835で同じ)は海外の衛星で実績があるとかないとかの話を聞いたことがありますが新たな実績例をうち立ててくれることを期待しています。
ちなみにRaspberryPiは上のSPRESENSEと比べると計算能力も消費電力も大きいです。
 

以上、革新的技術衛星に採択されたプロジェクトについての雑感でした。

サクッと紹介するとは何だったのか……

ここで紹介しなかったものを含めてどれも面白そうな課題でした。当団体の次期衛星は革新的技術衛星に採択されるようなものにしたいですね。

 

非常に長くなってしまったので「AWS Ground Station」は次の記事

P.S. こういった科学研究プロジェクトは詳細なことが公開されるのは終了後の報告書だけなので全体的に詳細が気になります……情報開示請求とかしたら出てくるんだろうか