お久しぶりです。保田です。

 

 

昨日は7月7日、七夕の日でした。


七夕といえば七夕物語ですが、この話は概ね以下のようなお話だったと思います。

織姫と彦星が結婚することになったものの、仲がよすぎて遊んでばかりで仕事をしなくなり、

怒った神様が天の川を作って2人を隔ててしまった。
しかし、2人があまりに悲しむので見かねた神様が1年に「1度」だけ会うことを許してくれた。
その「1度」というのが、7月7日の七夕の日です。


ほぼ1年中、天の川が2人の邪魔をしているわけですが、

われわれも他人事ではありません。


現在、SSSRCは室蘭工業大学の皆さまと一緒に「ひろがり」という衛星を開発しております。
この衛星、144MHz帯の周波数の電波を使って地上にデータを送る (ダウンリンクといいます)

ことになっているのですが、実は天の川 (銀河) からも144MHz帯の電波 (ノイズ) が出ており、
2つの電波が混ざって受信されるので衛星運用の邪魔となることが予想されているのです。


より正確には144MHz帯だけでなく1GHzあたりの周波数でも天の川からノイズが出ていますが、
低い周波数ほど地上で受信されるノイズが強くなります。

 

大学の超小型衛星の運用によく使われるアマチュア無線の周波数帯には

430MHz帯と144MHz帯の2つがあります。

以前SSSRCで開発し、運用された衛星「OPUSAT」では、

430MHz帯の電波で地上にデータを送っていました 。
この周波数帯は天の川からのノイズが衛星からの電波に比べて十分弱く、
ダウンリンクへの影響はほとんどありませんでした。
しかし今回、衛星のダウンリンクに430MHz帯を使用すると問題があったため、
天の川のノイズが強い144MHz帯でダウンリンクすることになりました。


天の川にダウンリンクを邪魔されるのは、一日のうち空に天の川が見える時間帯のみで済むので
1年の大半を天の川に邪魔されている織姫と彦星よりはましです。

とはいえ天の川は結構な大きさがあるので、地上局アンテナからは運用時そこそこの頻度で
衛星の後ろにノイズ源の天の川が見える状態となり、衛星電波受信が不利になります。

衛星からのデータ受信は衛星と天の川の見える位置が重ならないときに行うのがベストです。


というわけで、今回の衛星の運用の成否には

天の川が深く関わってきそうです。

 

そういえば七夕には願い事をする風習がありますが、私の今年の願い事は、

天の川が「ひろがり」の運用を邪魔しませんように

でした。