こんばんは.荒木俊輔です.

4月になって平成23年度が始まりました.

前年度代表よ,さようならとは言わないぞ.

だって,生活の中心が東京に変わっただけだから.


さて,前回のブログで告知しました通り,今回から数回にわたって

小型無人機の大樹町での飛行試験について書きます.

まず今回は,研究概要と私の研究との関わりについて簡単に説明します.


現在,JAXAを中心に次世代宇宙輸送システムの研究が進めららています.

次世代宇宙輸送システムを簡単に言うと,日本版スペースシャトルのようなものです.

再利用可能な宇宙輸送システム(スペースプレーン)を使って,

将来的に宇宙に人や物を安全に低コストで輸送することを目標としています.


スペースプレーンには人が乗り込むため,高い安全性が重要とされます.

そこで,本研究では様々な研究課題の中でも,外乱推定技術を導入することで,

不確かさを補償する技術を獲得することを目指しています.
(http://www.rocket.jaxa.jp/research/2010/kobo1025.html)


ここで重要になってくるのですが制御です.

制御は恐ろしいもので,無尾翼機でさえきれいに飛ばしてしまいます.

ということは,固有安定性の高い飛行機に,突風などの外乱を想定した制御や

飛行機の故障に対応できる制御を入れてしまえば,さらに安全な飛行機になります.


本研究ではスペースプレーンを模擬した全長800mmの小型有翼滑空実験機に

外乱推定を行う制御を入れて飛行実験を行い,実際の飛行を見ながら

その制御を洗練していくことを将来的に行っていくそうです.


さて,そもそもなぜ私が研究に関わっているかですが,

去年まで府大におられた先生(現在は金沢大学)が

飛行機好きの私に無人機の設計をしてみないかと

誘ってくださったことに始まります.


もちろん喜んで仕事に飛びついてしまった私ですが,小型無人機の設計と言われても,

要求される滑空速度とL/D,推測される機体重量を基に翼面積を算出し,

滑空時のつり合いから大体の形を決めることしか当時の私にはできませんでした.

そして,その大体の形を決める過程で,アスペクト比やテーパ比などは

既存の機体を参考にさせてもらっています.


その結果,ダッチロールをすぐ起こす魚肉ソーセージ.
$小型宇宙機システム研究センター広報室

アビオを積むから胴体を大きくしてくれという要求に答えすぎたアザラシ.
$小型宇宙機システム研究センター広報室

というつらい過去を経て,現在の機体の基となるものが完成しました.
$小型宇宙機システム研究センター広報室

そして,今ではさらにパワーアップして,こんな機体になっていました.
$小型宇宙機システム研究センター広報室


私の手作りとは違ってとても美しい仕上がりになっており,

カラーリングが(ムダに?)美しくなっていました.

今回はここまで,次回からは実際に大樹町へ行ったお話です.

荒木俊輔