おはようございます.荒木俊輔です.

昨日の続きでISS内で飛ばした紙飛行機の描く軌道について解説していきます.


2)ISS内と地球上の違い

それでは,ISS内と地球上の違いについて考えることにします.

何が違いますか?これは皆さんすぐに答えてくれました.

そう,無重力ですね.

宇宙飛行士がふわふわと浮いているところを見たことがあるので,

すぐに答えが出てきましたか?

じゃあですね,何で無重力なんでしょう.

考えたことはありますか??

「宇宙空間だから.」

中にはこう答える人もいるかもしれません.

いやいや,そんなことはないですよ.

地球の外に出たら急に重力がなくなるんですか?

これについては長くなるので,またの機会に説明することにしましょう.

理由はともかく,ISS内は無重力です.これが地球と異なるところです.


では,以上のヒント1,2を基に紙飛行機に働く力を考え,

ISS内の紙飛行機の軌道をもう一度考えてみましょう.(2分間)

(しつこい?でも,大学生になるってことは自分の頭で考えるってことなんです.)


解説を進めます.

紙飛行機に働く力のうち,本実験で考慮すべき力を考えていきましょう.

ISS内は無重力なのでW=0

紙飛行機はエンジンがついてないのでT=0

ということは,紙飛行機に働く力を考えると,

Fx = -D
Fz = -L

という運動方程式になります.(座標系は図を参照)

小型宇宙機システム研究センターのこんな日常 border=


宇宙空間は真空だからD=0っていう人もいましたが,

ISS内で宇宙飛行士たちはどのような格好をしていますか?

宇宙服ではなくて,通常の服を着てますよね.

ISS内は呼吸ができるように空気が存在しています.

だからD≠0ですし,Lも発生できるのです.


力がわかったということは,もう軌道が描けますよね.

次の図のようになります.

小型宇宙機システム研究センターのこんな日常 border=

ほら,上昇しますよね.これは若田宇宙飛行士の実験結果と一致しています.


ISS内で紙飛行機を投げるという何気ない問題ですが,

ちょっと難しかったと思いませんか?

葉っぱが落ちる様子を力学で解説することが難解であるように(私はできない),

単純な現象を考えるのは難しいことなのかもしれません.


上図は重心位置に力が働いているように矢印を描いているので,

機首が上がるのは厳密にはおかしいと思う人もいるかもしれません.

実際は重心位置と空力の作用点の位置がズレているので機首が上がることになります.

(興味のある人は重心と風圧中心,空力中心の関係について勉強しよう.)

また,本来ならISS内のある1点のみが無重力ですが,

微少重力には変わりないのでISS内は全て無重力としました.

(この点を考えたい人は東京大学の物理の過去問にありますので探してみてください.
もちろん飛行機ではなく質点を扱っているので大丈夫です.)


宇宙クイズはどうでしたでしょうか.

JAXA Channnelでは他にも様々な実験をしているので,ぜひ見てくださいね.


さてさて大阪府立大学に皆様がどんな印象を持ったのか気になるところです.

1日大学に行っただけでは物足りないって人も多いことでしょう.

研究室や学校の雰囲気はどうなの?授業ではどんな科目を勉強するの?など,

質問がありましたら本センターの活動に関わらずメールください.

sssrc"at"aero.osakafu-u.ac.jp ("at"を@に置換してください)

メールは我々学生が対応するので気軽に送ってもらって大丈夫ですよ.


また,連絡さえ取って頂けたら,いつでも本センターの紹介を致します.

「夏休みに航空宇宙分野に関する自由研究がしたいけど,どのようなことができるのかわからない」

などの相談でもかまいません.

(飛行機講習会を本学の1回生と一緒に受けます?自由研究にちょうどいいと思うよ.)


いやー,長くなっちゃいました.昨日の記事と合わせると作文用紙7枚越えてる.

これは西野くんに原稿料もらわなきゃいけませんね.

それではまた.

荒木俊輔