ご指名にあずかりました荒木俊輔です.

昨日,一昨日と本学オープンカレッジに参加して頂いた皆様,ありがとうございました.

少しでもおもしろいと思ってくださいましたでしょうか.


航空と宇宙のどちらに興味があるのかを聞いたところ,

今年は航空のほうが好きって答えてくださった方がとても多かったです.

これは最近では珍しい傾向です.だいたい宇宙にシフトしちゃってますからね.

小型宇宙機システム研究センターという名前から,宇宙に関することだけをやってると

思われた方もいるかもしれませんが,CanSatは飛行機型を設計してますし,

飛行機講習会も夏休みに開く予定です.

飛行機に関することもたくさん学べますので,ぜひ本センターで一緒に学びましょう.


さてさて,本題です.

☆宇宙クイズ☆
ISS(国際宇宙ステーション)内で紙飛行機を飛ばしたら,紙飛行機はどのような軌道を描くでしょう?

$小型宇宙機システム研究センターのこんな日常


さぁ,考えてみてください.(30秒)


どうでしょう?私が高校生に質問したところ,

「まっすぐ飛び続ける」という答えが一番多かったですね.

あなたはどう思いましたか?

おんなじ考えの人もいたでしょうし,違う考えの人もいたでしょう.

では,ヒントを出すので直感的に答えるのではなくて,今度は"考えて"みましょう.

ヒント1)飛行機が定常水平飛行するときの力のつりあいを考えよう.

ヒント2)ISS内と地球上での違いが何なのかを考えよう.

はい,これらのヒントを基にもう一度考えてみてください.(3分間)


どうでした?さっきと答えが変わりました?

では,実際にどう飛んでいるのかを見てみましょう.

JAXA Channel http://www.youtube.com/user/jaxachannel
若田宇宙飛行士のおもしろ宇宙実験 Try Zero-G(続編) [HD]
紙飛行機の実験は9分58秒からです.

紙飛行機は上昇していきましたね.予想とあってましたか?


それでは解説していきましょう.

1)水平定常飛行時の力のつりあい

力学の問題を解くときのセオリー通り,水平方向と鉛直方向にわけて考えてみましょう.

まずは水平方向です.

飛行機はエンジンで前向きの力を発生させます.

これは推力(Thrust)と呼ばれます.

でもでも,これだけでは飛行機はどんどん加速してしまいます.

飛行機も無限に速いわけではありませんよね.

定常水平飛行しているということは前の方向だけでなく,

どの向きに力が働く必要がありますか?

そうです,後ろ向きの力が必要です.

これは抗力(Drag)と呼ばれています.

実際には抗力にもいろいろと種類がありますが,ここでは簡単に空気抵抗と考えてください.

これらの力が働くことで,水平方向の力のつりあいがとれています.

T = D

$小型宇宙機システム研究センターのこんな日常
(CanSatのアルゴリズムについて説明するイータウ.塾講師みたいです.)

続いて,鉛直方向です.

飛行機には重さがあるから,下向きに力が働きます.

これは重量(Weight)と呼ばれます.

知ってるとは思いますが,重量とは質量に重力加速度をかけたものです.

(力学の問題を解くときに間違えないようにね.)

でも,飛行機は飛んでいます.

飛行機が落ちないためにはどっち向きの力が必要ですか?

そう,上向きの力です.これは揚力(Lift)と呼ばれています.

ときどき浮力という人がいますが,これは誤りです.

浮力というのは密度差による上向きの力であって,気球や飛行船がこれで飛んでいます.

しかし,飛行機の場合は空気が流れることによって生じる上向きの力,

すなわち,揚力で空を飛んでいます.

さて,水平飛行をしているということは,上向きの力と下向きの力がつりあっています.

L = W

これをみると,ものが浮くには自重と同じだけの上向きの力が必要だということがわかりますよね.

だから飛行機は軽く作らないといけないのです.

以上の考察により,力のつり合いの式を立てることができました.

水平方向 : T = D
鉛直方向 : L = W

$小型宇宙機システム研究センターのこんな日常

原稿を書いてみたらとてつもなく長くなったので,これ以降の記事は明日掲載します.

まずはここまでを整理して,飛行機の描く軌道を予測してみてください.

それではまた明日.

荒木俊輔