[シングルス1回戦] ○マルコス・ギロン(米国) 7-6(14),4-6,6-1 ●西岡良仁
■西岡がトップスピンの重いボールを打っても、ギロンは高い精度のショットを返してきた。今大会、コートの球脚が速く、バウンドが低いと複数の選手が指摘している。高く跳ねるトップスピンで相手をオフバランスにするのが西岡の基本戦術だが、ここでは通用しなかった。一方、予選から3試合目のギロンはサーフェスとボールにも慣れたのか、気持ちよさそうにラケットを振り、西岡は常に守勢のラリーを強いられた。
■それでも、粘りに粘った。攻めに転じることができなくても、ひたすらボールを拾う。ラリーで劣勢の中、第1セットは一度もサービスゲームを落とさず、もつれにもつれたタイブレークでも、容易に音を上げなかった。だが、第3セット第4ゲーム、この試合で初めてブレークを許し、次のゲームでブレークポイントを3度逃すと、力尽きたようにプレーの質が落ちた。
■サーフェスについて西岡は「相手の方がこういう跳ねないコートに合ってると思う」と話したが、勝敗を分けたポイントとしては「運がなかった」ことを上げた。「欲しいポイントはほぼ相手が取った」と西岡。大事な場面、両者の緊張が高まる局面でも、リスクを負ったギロンの高速フラットはことごとくラインの内側に突き刺さった。西岡がしつこくボールを拾い、左右に展開しても、相手の強引なショットでラリーが終わった。そんな展開が3セット続くのは確かに珍しい。「10回やったら9回は勝つ内容だったので、運がなかったとしか思っていない」。西岡は口惜しさを隠そうとしなかった。
[シングルス1回戦] ○ジョーダン・トンプソン(豪州) 6-3,6-4 ●アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
■21年に同じ有明コロシアムで行われた東京オリンピックで金メダルを獲得したズベレフだが、ジャパンオープンの大会デビューはほろ苦いものになった。第1セットを落とし、第2セットは序盤に相手のサービスゲームを破ったが、すぐにブレークバックを許した。4-4からのサービスゲームを落とすと、もう、盛り返す勢いはなかった。
■ズベレフが「油断のならない相手」と評したように、トンプソンは上位選手にとって危険な選手ではある。だが、それよりズベレフ自身の調子が上がらなかった。ファーストサーブ時のポイント獲得率は63%と低調だった。丁寧にラリーをつないでポイントを取り、なんとか盛り返そうと苦心したが、攻撃的なショットがことごとくミスにつながり、最後までリズムに乗れなかった。
■「練習では、この1週間でプレーが良くなかったのはたった1セットで、調子が良かった。けれども今日は最低のプレーをしてしまった。彼がいいサーブを持っていて、調子が良かったのは確かだが、自分が本当に悪い試合をしたと言うしかない」。ズベレフは努めて感情を抑えながら、苦い敗戦を振り返った。
[ダブルス1回戦] 〇島袋将(有沢製作所)/綿貫陽介(フリー) 6-4,6-2 ●N.メクティッチ(クロアチア)/J.ピアース(豪州)
■元世界1位で21年東京五輪金メダルのメクティッチと、元世界2位でダブルス27勝のピアースという強豪ペアを、島袋と綿貫が力でねじ伏せた。ともに今季、シングルスでランキングを上昇させている2人は持ち味のサーブがさえて、ブレークを許したのは1度だけ。ネット勝負に出てくる相手ペアに対しては、強打で相手の壁を打ち破って、4度サービスをブレークした。一方的な流れとなった第2セット、最後は島袋の強力なサーブで試合を締めた。
■「格上の相手だから思い切ってプレーしようと話していた。先にブレークして流れをつかみ、終始自分たちのリズムでできた」と島袋が言えば、綿貫が「僕たちは今年いいシーズンを過ごしている。僕も将も自力がついている。シングルスの選手がダブルスをやると、相手もなかなかリズムをつかめないところがある」と応じた。昨年は横浜、神戸と国内のチャレンジャー2大会で組んで連敗していただけに、主催者推薦で出場したツアー本戦での白星に言葉が弾んだ。
■第2日の17日にはともにシングルス1回戦を迎える。C.ガリン(チリ=94位)と対戦する島袋は「明日も今日と同じメンタリティで、この勢いのまま行きたい」と話した。第2シードのC.ルード(ノルウェー=8位)が相手となる綿貫も、「大きな大会は初戦の入り方が難しい。ダブルスで1試合できたのは大きい。ダブルスで格上のペアに勝ったのはシングルスでも相手のプレッシャーになるはず。そういうのを利用して頑張りたい」と初戦突破に意欲を示した。
[シングルス1回戦] 〇F.オジェアリアシム(カナダ)[8] 7-6(3),6-7(2),6-2 ●A.ブキッチ(豪州)
■全米で1回戦敗退。その後の中国でも2大会連続で初戦負けだったオジェアリアシムが初戦を突破した。第2セットは5-4からのサーブを破られて、タイブレークでセットを落とすという苦しい展開だったが、最終セットは「アグレッシブにプレーできた」と本来のリズムを取り戻してブキッチを圧倒した。今季は低迷しているが「この2か月はいい状態に戻りつつある」とオジェアリアシム。「このサーフェスは非常に速いが、サービスが良ければ効果的なので気にしていない。私にとって悪いコートではない」と有明での巻き返しを期していた。
[ダブルス1回戦] 〇N.ラモンズ(米国)/J.ウィズロウ(米国) 7-6(2),3-6,[10-7] ●松井俊英(ASIA PARTNERSHIP FUND)/上杉海斗(江崎グリコ)
*[ ]内の数字はシード順位 |