平成元年世代。
同年代女子は、結婚もしくは秒読み安定派と
昔の彼が忘れられない派に分かれてきたように思います。
そう。最近になって急に、みんな過去にとらわれ始める人が急上昇中。
ひと通り、酸いも甘いも経験してきたからでしょうか。
一周まわって、かつての彼に想いを馳せるようになっています。
もうよりが戻ることもないのを知っている。
万一つきあえても、うまくいかないのもわかっている。
それでも、忘れることができないの。
今日はそんな彼女たちにオススメの治療法を伝授します。
それは、
相手を死んだものとする。
これだけです。
具体的なことを架空のサクセスストーリーにのせて説明していきます。
つまりこういうことです。
【登場人物】
なるこ。
経験の少なさゆえに恋愛偏差値低め。
一日中梱包のプチプチ潰して過ごせるくらい、ハマればとことんのめり込むタイプ。
ちょっとチャラめの村田さん。
なるこの彼氏です。
新しい携帯にすれば、まず自撮りしてカメラの画質を確かめるタイプのナルシスト。
なるこは村田さんのことが大好き。
村田さんの部屋が汚ければ、いないうちに掃除をしておき、
村田さんが喉が痛いと言いだせばヴィックスを買って差し出すなど、
彼女兼家政婦兼マツキヨとして活動していました。
ところがある日、ひょんなことから村田さんと別れ話に。
最初は自分に落ち度がある、と自責の念にかられていた彼女。
それでも諦められず、どうかやり直せますように、と2週間ほど明治神宮に参拝していました。
朝6時頃から明治神宮は空いているので、それはもう毎日欠かさず5円玉を大量に握りしめて原宿で下車をする日々。
ところがそんな最中、彼はあっさりと他のブスとつきあい始めたのです。
そこからはもう、地獄の連日連夜。
憎しみと未練と後悔と罵詈雑言、いたる感情が体中をかけ巡り
「こうなったら上書き保存しかない!!!!」と奮起して多様なイケメンとデートしても保存まで至らず、
忘れられずにまたドロドロと憎しみを繰り返していました。
いいかげん、このままじゃ死ぬ…
食欲不振と睡眠不足を補うためにガブ飲みしていたレッドブルのせいか、
やけにギラついた顔になってしまった彼女は確信したのです。
そして思ったのです。
このままじゃ、死ぬ…
…いっそ最初から彼なんて存在していなかったことにすれば辛くないかもしれないな、
よし、だったら亡くなったことにしよう…と。
そこから、連絡先・mixi・彼との写真類は消去し、
彼からもらったバッグには酔った勢いでビールをぶっかけておきました。
唯一、いつか自分の人生で見返す時がくるかもしれないと、彼と別れた時に作成した反省文の類は残しておきたかったので、パンドラの箱を作成して
家のマンションにあるトランクルームの奥底にしまいこみました。
これで全て終了。
もう彼を思い出す物も連絡先も、全てありません。
彼はタバコの吸いすぎで肺ガンを患い、若くして死去してしまったんです。(という設定です)
ただ、しかし残念なことに、同じ社内にいるせいで
死んだはずの彼とすれ違うことや
また、同じ社内の新しい彼女と仲良くしている姿を目撃してしまうこともしばしばありました。
しかしそんな時でも、さくっとカトリックばりに十字架をきったり
霊柩車が通った時と同じ要領で親指の爪を隠して懸命にやり過ごしたのです。
あれは、霊だと。
ブスの子に霊がとり憑いてしまっているのだと。
あくまでも彼女は最後の最後まで死んだことにして耐え忍んでいました。
そして、そんな生活を繰り返しているうちに
彼との生前の思い出も懐かしめるくらいには風化し、
なんやかんやで優しいイケメン大金持ちと出会い、幸せに暮らしましたとさ。
~Fin~
いかがですかね。
オチ前まではやたらリアルな展開だったのに、最後の最後でふわっとしていますがそれはさておき、
この、「死んだものとする」効果は絶大です。
万一連絡をとりたくなっても、あの人は…と遠い目をすることしかできないわけですから。
もちろん、確かに失礼なほど不謹慎な話です。
縁起でもない。
それでも、それくらい覚悟をもって忘れなきゃいけないと思うんですよ。
だって、もう、24歳だよ!!!!!
最後にそれでも、彼とつきあいたいあなたへ。
「…キレイな顔、してるだろ。
死んでるんだぜ…それ…」
あなたの思い出の彼は、今の彼とは違います。
もうどこにもいませんので、死んでいるのと同然です。
思った以上に深いオチでまとまってしまいました。
これにて以上とさせていただきます。
ちなみに本当にブスの彼女の似顔絵とかも悪意がありますが全力でフィクションですし
人物・設定等すべてフィクションですし
成瀬の存在自体もフィクションですから
あんまり変な目で見ないで下さい。