おはようございます。こんにちは。こんばんは。

形成外科専門医の佐々木です。

 

 

なぜ埋没法の瞼板上縁法が混乱を招くのか問題

 

瞼板上縁法には

 

論文で発表されている“狭義の瞼板上縁法”

世間で言われている“広義の瞼板上縁法”

 

があります

 

下図をみていただけると糸(青線)のかかり方が異なるのがお分かりいただけると思います。

瞼板上縁法について語るとき、"狭義の~"、"広義の~"、どちらについて語っているかで意見は異なります

 

 

瞼板法と挙筋法では、どちらがいい悪いではなく、リスク分布が異なります。

 

過去の記事も参考にして見てください↓

 

 

 

それではまた^^

 

 

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

形成外科専門医の佐々木です。

 

本日は埋没法の合併症について。

前回、挙筋法と瞼板法の違いについて書いたブログで少し触れましたが、今回はそのまとめ。挙筋法と瞼板法でリスクの分布が異なることや、眼瞼痙攣様症状とは、ということは過去ブログ事参照でお願いします。

 

まず、見た目、つまり整容面での合併症について

 

・糸玉/糸の透見

 →皮膚が薄い方だと糸や糸玉が透けて見えることがあります。

 

・傷跡残存

 →基本的には糸玉を通すための1mm程度の傷と針穴の傷が二重のライン上にあるだけなので目立たないことがほとんどですが、稀にこの傷が点々とした跡となってしまう方がいらっしゃいます。

 

・希望の幅にならない、

 →デザインが間違っていたりすると希望の幅にならない場合があります。

 

・ハム目

 →糸を強く縛りすぎたり希望する幅が広すぎたりすると、ハム目と言って二重の線より瞼縁側が厚ぼったくなったりします。

 

・左右差

 →アジア人は顔の左右非対称性が高い民族になるため、どうしても左右差が出ることがあります。場合によってはなるべく左右差が目立たない幅に落ち着かせた方がいい時もあります。

 

・イメージ違い

 →これは「希望していた幅と違う」というものではなくて、「平行二重は意外と自分に似合わなかった」などのパターンです。希望した形にはなったけど埋没法の糸を抜いて元に戻して欲しい、という患者さんは極稀にいらっしゃいます。

 

 

続いては、機能的な合併症について。

 

・感染

 →埋没糸に感染を起こすことが稀にあります。抜糸が必要です。

 

・霰粒腫

 →いわゆる“めばちこ”です。瞼板法の方が起こしやすいです。抜糸と同時に霰粒腫を治すための手術をします。

 

・糸の露出

 →非常に浅い位置に糸玉が入ってしまうと皮膚から糸が出ます。糸が皮膚が出ているので抜糸は楽です。

 →糸が切れたりすると瞼の裏側から出て眼球表面に当たってごろごろすることがあります(これは稀なのですが、他の記事でも書いた通り10年など経過してもおこることがあります)。これも糸が出ているので抜糸は楽です。

 

・眼瞼下垂

 →挙筋法で糸を強く締めすぎると起きる可能性があります(過去ブログ参照)。また、幅が広すぎる二重でもなったりします。これも抜糸して、結び方を調節したり二重幅を変更したりします。

 

・眼瞼痙攣様症状

 →これは過去ブログ参照にて詳しく書いていますので参照してください。

 

次回は

なるべく取れにくいように、かつ、抜糸しやすいように、というコンセプトのもと私が行っている埋没法について図説とともに書きたいと思います。

 

それではまた

See you until next time

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

形成外科専門医の佐々木です。

 

さて、埋没について書いてきて次あたり合併症について書いていこうかと思いましたが、最近twitterでちょっと話題になった結膜側結紮埋没法について書くことにします。

 

twitterは呟くだけなので解説しきれないんですね。。。

 

まず瞼の解剖のおさらい。

瞼の断面図はこんな感じになっております。

 

本日の主役は挙筋腱膜(赤) と Muller筋(青)。

挙筋腱膜は主に上眼瞼挙筋と瞼板を繋いでいて、上眼瞼挙筋が縮むと瞼板を引っ張ってまぶたを開けます。

Muller筋は挙筋腱膜と結膜の間にあり、瞼板を引き上げるのを手伝っています。

それぞれ筋肉と支配神経が違います。

上眼瞼挙筋は随意筋と言って、意識した通りに動かせ、運動神経支配になります。

Muller筋は平滑筋と言って、意識的に動かせず、交感神経支配になります。

 

埋没での瞼板法・挙筋法とは瞼に糸を通して、二重を作る手術です。

皮膚側結紮、結膜側結紮関係なくまずは挙筋法について書きましょう。

挙筋法では挙筋腱膜だけではなく、Muller筋と結膜にも糸がかかっていますよね。

この糸を強く結びつけるとどうなるか。。。

以下の図のようになります。

挙筋腱膜は伸び、Muller筋も伸びます。

挙筋腱膜は伸びたことにより、本来の瞼板を上に持ち上げてまぶたを開く、ということがしにくくなってしまいます。Muller筋も同様に伸びて力が伝わりにくくなるのですが、それに加えてMuller筋にある機械受容器が反応します。機械受容器が伸展刺激されるとそれが脳に影響して眼瞼痙攣様の症状が出現して、目のつっぱり感や目の痛みなど多彩な症状が生じてくるという風に言われています。

 

強く閉めすぎた挙筋法でこういった症状が出てくるのはわかりましたね。

しかし、皮膚側結紮挙筋法でこういった症状が出ても抜糸をすれば治ることがほとんど。

抜けば元に戻るのが埋没のいいところです。

 

では問題の結膜側結紮埋没法について。

 

糸かけるところは同じなのですが、結び目が結膜側に来ています。

 

糸玉は十分深く、でも深すぎない位置、つまり「適切な位置」に糸玉を入れなければならないのですが、、、このとき結膜側の構造物たちは結構シビアな感じで重なっています。何がシビアかというと、それぞれが薄いので「適切な範囲が狭い」、ということです。実際の瞼の断面を見てみるとこんな感じです。

結膜側結紮の糸玉が埋まる場所には大事なもの(挙筋腱膜、Muller筋)が比較的密にあることがわかります。

※ブログ末のサイト、論文から組織切片の画像は改変して引用

 

 

糸玉が浅すぎた、つまり結膜に近すぎる位置に糸がある場合ですが、これは目がごろつきます。深いところに入れるとごろごろ感のリスクは減らせれるのですが、そこで問題になるのが本日の主役のMuller筋と挙筋腱膜。糸玉を入れるときにこれらを破る可能性があるんですね。眼瞼下垂の手術したことがある人ならわかりますが、特にMuller筋はめちゃくちゃ薄いです。メスで切らなくても糸玉を埋め込むときに使うピンセットで突けば簡単に穴があきます。“ごろごろさせないようにしなきゃー”と思って糸玉をぐいぐいピンセットで押し込むと穴があきます。穴があくとどうなるか。穴は“瘢痕”となって治ります。

 

そこからは以下の通りです。

 

瘢痕の部分は“癒着”と“瘢痕拘縮”が起きる

→瘢痕拘縮によって正常部Muller筋が引っ張られる

→Muller筋の伸展刺激組織が刺激される

→脳へ影響して眼瞼痙攣になる

ちなみに埋没して日が浅いときは皮膚側結紮でも結膜側結紮でも目につっぱり感などが出ますが、これは二重に目が慣れていないだけなので眼瞼痙攣ではないです。症状が明らかにどんどんと悪くならなければ様子見でいいでしょう。

 

あとは無症状の結膜側結紮埋没の抜糸がなぜやらない方がいいか、です。

無症状の結膜側結紮埋没の糸は元々が挙筋腱膜まで深く入っていなくても時間経過とともに挙筋腱膜近くまで移動していることが多いです。つまり深く入っている。つまり探しにくい。あとは以下の図の通りです。

何となく不安だからやった抜糸が症状誘発する可能性があるんですね。。。

 

医師の中ではMuller筋刺激による眼瞼痙攣発症メカニズムを否定している方々もいらっしゃいますが、これは難しいところで

①そもそも眼瞼痙攣の定義が厳格ではない

②眼瞼痙攣になるメカニズムがいくつか提唱されている

が意見の分かれている原因として挙げられます。

 

美容外科医として目の周りを施術するなら、「否定している医師がいるからそんなことはない!」とするのではなく、Muller筋刺激による眼瞼痙攣発症メカニズムが提唱されていてきちんと論文になっているという事実を受け止めて診療にあたるべきだと考えています。

 

 

 

 

 

それではまた

See you until next time

 

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