皆さま、こんにちは。

 

前回に引き続き、今回は額・こめかみリフトについて書いていきます。

前回のブログを読んでない人はこちらもチェックしてみてくださいね。

 

 

 

 

さて、前回のブログの最後に、上まぶたのたるみは「額・こめかみのたるみ」のしわ寄せを受けた、いわば“被害者”であると書きましたので、今回はこの「額・こめかみのたるみ」を治療する額・こめかみリフトについて書いていきましょう。

 

額・こめかみリフトもフェイスリフトと同じようにたっくさんの種類があります。

もうね、本当にたくさんあるんですよ。

なので全部を網羅するのは無理なので現在主流に行われている方法について概要を説明していきます。

 

①生え際を切開して、皮下で剥離を進め弛みをとる方法

②上記に筋肉処理を加える方法

③内視鏡もしくは内視鏡スタイル(小切開)で弛みをとる方法

④上記に筋肉処理を加える方法

 

ざっくり分けるとこんな感じです。

あくまでざっくりと主流なものを説明しているので抜けがあるのはご勘弁を。

 

それぞれメリット・デメリットがあって、それが以下のようになります。

インスタグラムで投稿しているものを拝借....

 

 

それぞれこのような感じになっています。

 

②、④に書いてある筋肉処理ですが、これはシワの原因となる筋肉に割を入れて力を弱めシワができにくくしたり、そもそも筋肉を取ってシワができないようにしてしまったり、弛んだ筋肉をピンっと張ったり、といろいろな方法があります。

 

次回のブログで③内視鏡もしくは内視鏡スタイル(小切開)で弛みをとる方法、について深掘りするので本日は①に付随する②の筋肉処理だけ少し詳しく書きます。あくまで私の方法とこだわりなので他のクリニックではできるとは限らないのでその点は悪しからず。

 

生え際を切開する額・こめかみリフトの時に処理する筋肉は主に4つ。

 

(1)前頭筋;額の横ジワを作る筋肉、眉毛全体を上に上げる

(2)皺眉筋:眉間の縦皺を作る筋肉、眉毛内側を下に下げる

(3)鼻根筋:眉間やや下の横ジワを作る筋肉

(4)眼輪筋:目頭・目尻の皺を作る筋肉、眉毛(内側・)外側を下に下げる

 

になります。

筋肉が足りねぇ!作用も微妙に違っているぞ!という医師の方々、あくまで一般の方向けなのでご勘弁を...

 

それぞれの筋肉に対して、私のしている処理及びその理由についてざっくりと書くと以下のようになります。

 

(1)前頭筋:細かくカット+前頭筋を動かす神経の選択的処理

前頭筋は細かく切れ目を入れていくことで、額から頭頂部の感覚をなるべく温存したまま筋肉の活動性を下げて額の横ジワが出にくくします。全部取ると、額から頭頂部の感覚がなくなる可能性が高いので切れ目を入れていくだけにしています。ただ、この時に前頭筋は切れ目を入れたぐらいだと一部復活することが多いので復活しやすい部分の神経を切断してくるという追加処置も加えます。(※上述したようにこの筋肉は眉毛を上に上げる筋肉ですがから、前額リフトをしないでこの処理をすると眉毛が下がってしまいますからあくまで眉毛が上がる前額リフト前提の処理になります。)

 

(2)皺眉筋:全切除か骨から外すのみ

全切除についてはわかりやすいですね。その名の通り全部筋肉をとります。筋肉の動きが復活する可能性はありません。骨から外す、というのはどういうことかというと、皺眉筋は特殊な表情筋で骨にしっかりついて機能しています。この骨についているところを外してあげると足場を失った皺眉筋はかなり活動性が落ちるので、縦皺ができにくくなる、という感じです。

この二つ以外にも、部分的に除去する、切れ込みを入れる、という処理があるのですが、私は行っていないです。皺眉筋を動かしている神経が特殊なので、これらの方法だと動きが変に復活する可能性があるのと、これらの方法と骨から筋肉を外すだけの方法で比べた時に効果があまり変わらなかったという研究結果があるからです。変に動きが復活するリスクを犯してまで部分的に除去する、切れ込みを入れる、という処理を加えるメリットがないのですよね...

 

(3)鼻根筋:(ほぼ)全切除

この筋肉は単品で処理することがなく、皺眉筋を全切除した時にそのついでに処理する筋肉です。皺眉筋を切除した部分がやや窪みますからそれに合わせるように鼻根筋を除去しなければならないので、「結果的に」全切除になることが多いです。

 

(4)眼輪筋:弛んだ部分をピンと張る

これはこめかみリフトの時に外側の部分だけ行ってきます。眼輪筋も切れ込みを入れたくらいですとすぐに動きが復活して意味がないのと、目尻の眼輪筋は骨にゆるーくしかついていなくて動きたい放題なため、弛んだ部分をピンと張った方が効果的です。(目頭側は骨にしっかりとついているのですが、これを外すと大変なことになるので目頭側はノータッチの選択になります)

 

さて、少し難しくなりましたがこんな感じで筋肉処理をしています。

カウンセリングでいつも話していることなのでここに書いても問題はないのですが、カウンセリングの前段階の知識として頭の中に入れておいていただけるとカウンセリングをより有意義にできると思いますので参考にされてください!!!

 

さぁ、次回は、内視鏡もしくは内視鏡スタイル(小切開)で額・こめかみの弛みをとる方法、について書くのですが、なぜわざわざこれを分けて書くのか。実は日本の内視鏡前額リフトが置かれている状況で興味深い現象が起きているので、それについて書きたく分けたんですねー

 

ということで次回も乞うご期待。

最後までお読みいただきありがとうございました〜ではでは。

皆さま、こんにちは。

だいぶ間が空いてしまいましたが、本日は「フェイスリフト」の中でも少し趣向を変えて、額・こめかみリフトにも深く関係するお話を。

「目の上がたるんできたなぁ……美容外科でなんとかできないかな?」

そう思って検索すると必ず出てくるのが“眉下切開”という手術です。

眉下切開とは、文字通り「眉毛の下の皮膚を切り取って、上まぶたのたるみをスッキリさせる」手術。

傷が眉毛の下の隠れるので欧米人と比較して傷が目立ちやすい日本人に適しており、かつ、厚ぼったい皮膚も取り除けるため、一見すると非常に理にかなった「お手軽で効果的な手術」に思えます。

しかし、ここには大きな落とし穴があるのです。

それは、

「術後に目と眉が近づきすぎてしまい、顔の印象がキツくなる人が一定数いる」

ということ。

なぜ、良かれと思って受けた手術でそんな現象が起きるのか?

そのメカニズムを詳しく解説しましょう。


眉毛は「頑張って」今の位置にいる

本来、加齢とともに額やこめかみはたるみ、それに引きずられて眉毛も下がってきます。

ところが、多くの場合は「前頭筋(額の筋肉)」が頑張って眉を上に引き上げ、無意識に視界を確保しようとしています。

どういうことかというと、

  1. 加齢で額・こめかみがたるむ

  2. 眉毛が下がる

  3. まぶたの皮膚が目に被さる

  4. 視界が悪くなる(これ以上下げまいと、額の筋肉が眉を引き上げる)

という悪循環を食い止めるために「前頭筋」が頑張ってくれています。

この「頑張っている状態」で眉下切開を行うとどうなるでしょうか?

皮膚のたるみが物理的に無くなると、脳は「もう頑張らなくていいよ」と判断します。すると、額の筋肉がリラックスして眉毛が本来の(低い)位置までストンと落ちてしまうのです。

その結果、目と眉の距離が極端に縮まり、険しくキツい印象を与えてしまいます。


AIで比較する「眉が下がった印象の変化」

額のボトックスは「前頭筋」を弱めるボトックスなので、額のボトックスで失敗されたことがある方は直感的にこの状態が理解しやすいと思いますが、他の方もこの現象をイメージしやすくするために、AIに画像を作ってもらいました。

あくまで「眉下切開によって眉が落ちた状態」を想定した比較ですので瞼直上のたるみについては同じです。

 

眉下切開前イメージ
 

術後、眉が落ちた状態

 

いかがでしょうか。

どちらの方が、パッと見で「キツい印象」を受けるかは一目瞭然かと思います。

「どちらが若々しく見えるか」と聞かれれば、多くの方が一枚目(眉の位置が適切な方)を選ぶはずです。

厄介なのは、この眉の下垂が術後数ヶ月から1〜2年かけて徐々に起きてくるという点です(体感です)。


なぜ「眉下切開ブーム」は起きたのか?

眉下切開は短時間で施術でき、医師側にとっても参入障壁が比較的低い手術です。

SNSでは「目元だけ」をクローズアップした、眉が下がる前の(術後間もない)綺麗なBefore/Afterが溢れています。

この「部分的な成功例」の拡散が、現在の眉下切開ブームを加速させた一因と言えるでしょう。

もちろん、熟練の先生方はこのデメリットを熟知しており、「眉下切開が適応となる人は、世間で思われているほど多くはない」と警鐘を鳴らされてきました。しかし、SNSの勢いには勝てず...

患者さんご自身でも気づかないうちに「たるみは取れたけれど、なんだか顔が怖くなった……」という状態に陥っている方が少なくありません。さらに悲しいことに、本人は「まぶたの処置は終わったはず」という先入観があるため、若見えしない原因が「まぶたより上(額やこめかみ)」にあることに辿り着けず、いつまでも理想の顔貌になれないという迷宮に入り込んでしまうのです。

また、上述したように眉下切開は日本人にとって良い手術なのですが、この眉毛下がる現象はアジア人で起きる確率が高いことも、悲しいことに最近の研究でわかっています...


たるみの「根本原因」はどこにある?

そもそも、上まぶたのたるみは「額・こめかみのたるみ」のしわ寄せを受けた、いわば“被害者”です。

被害者であるまぶたの皮膚を切り取るだけで、原因である上方のたるみを無視すれば、どこかに歪みが来るのは容易に想像がつきますよね。(※もちろん、眉下切開がバッチリ決まる方もいらっしゃいますが、全員に適した魔法の杖ではありません)

「じゃあ、どうすれば自然に上まぶたのたるみを解決できるの?」

その答えこそが、額・こめかみリフトなのです。

……とお話ししたいところですが、少し長くなりましたので、この続きはまた次回に。

本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

ではでは。

リフトアップの王様手術、フェイスリフト、に関するブログ。前回の続きから。

 

このシリーズも今回で3本目。1本目、2本目の記事を読んでいない方はそちらもぜひ読んでください。

 

さて、今回はDeep Planeについて。

 

私が“Extended Deep Plane Face and Neck Lift”と言い始めてから徐々に“Deep Plane”という用語が日本でも広まってきたと思います。今ではいろいろな術者がDeep Planeといっていますが“それ本当にDeep Plane?”と思われるようなものも見受けられるようになりました。真面目にフェイスリフトをしている医師ならいざしれず、ただの流行り言葉に乗っかっているだけの医師で手術を受けたら失敗間違いなしです。

 

ということで最終回の今回は玉石混合の“Deep Plane”について勉強していきましょう。

 

まずは概要から。Deep Planeの定義は3種類あります。

①(広義の)Deep Plane

②(狭義の)Deep Plane

③(さらに狭義の)Deep Plane

一つずつ見てましょう。

 

①広義のDeep Plane 

 

まず、一番広い意味での“Deep Plane”についてです。ここはフェイスリフトの神様の書いている教科書から引用を 

 

“the term deep plane has since come to be used generically by most surgeons for any procedure where there is some kind of modification of the SMAS is performed”

 

Aesthetic Plastic Surgery Video Atlas. Facelift with SMAS Flap. T. Marten

 

 

日本語に訳すと、“Deep Planeは何かしらSMASに手を加えているフェイスリフト”ということになります。

 

あら?と思われた方、正解です。

 

少しでもSMAS操作を加えていればそれだけでDeep Planeです。なのでHigh SMAS、Low SMAS、SMASectomyなども全部“Deep Plane”ということになります。なんだったらSMASの下を全く剥離せず、靱帯も触らないMACSリフトでも“Deep Plane”に含みそうな懐の深さを見せる定義です。

 

この定義があるので、私からみて「それ本当にDeep Plane?」と思うような手術でも“Deep Plane”で正しくなってしまうんですね。恐るべし言葉の定義。

 

②狭義のDeep Plane 

 

この辺りから私が指している“Deep Plane”となってきます。

顔の横から皮膚切開をした後、皮膚の下を進みます。そして目尻から下顎角あたりを結んだラインあたりからSMASの下に入りさらに剥離を進めて、皮膚とSMASを一塊にしてリフトアップする…これが(狭義の)“Deep Plane”となります。広義のDeep Planeと比べると、SMAS下の処理をきちっとしている、のは明らかです。

 

他のSMAS法などと比較するとメリットとしては

A. 中顔面への効果がある

B. SMASと皮膚を一塊にして牽引できるので皮下組織が温存できる

となります。

 

実はBがかなり重要です。そもそも母親の体の中で受精卵から体が作られていく時、『皮膚とSMASは同じ部分からできる』のであまりこの二つは剥がさないよ方が良いと言われています。

この二つを剥がすことで肌質が悪くなったり、毛穴が広がったり、毛細血管が拡張したり、などなど種々の問題が生じてきます。

この辺りについては、もう少し詳しく「Preservation Facelift」という概念とともに別の記事で説明させていただきたいと思います。

 

 

 

③さらに狭義のDeep Plane 

②と③の違いは非常に難しいです。美容外科医に聞いてもきちんと答えられる人は少ないと思います。というか論文の段階でもごちゃごちゃしています。

 

②の段階だとまだ2種類のDeep Planeが含まれていて

・中顔面において、表情筋をSMASに含めるDeep Plane

・中顔面において、表情筋をSMASに含めないDeep Plane

があります。

この中での後者、つまり、“中顔面において表情筋をSMASに含めないDeep Plane”がさらに狭義のDeep Planeになります。

 

私は両方のタイプで行っています。その時の手術の組み合わせだったり、SMASの厚さだったり。

 

 

さて、まとめますと、Deep Plane Faceliftと一口に言っても

①(広義の)Deep Plane

②(狭義の)Deep Plane

③(さらに狭義の)Deep Plane

の定義があり、①の定義が広すぎるのでフェイスリフト界隈が玉石混合のDeep Planeで溢れかえっている現状があります。海外でも同様の問題は見られるようで警鐘を鳴らしている医師がいらっしゃいました。“Deep Planeと言っているけどDeep Planeでないフェイスリフトを多く見受けられるようになった”と。

 

Deep Planeの恩恵が受けられるのは②、③のDeep Planeだけです。

流行りに乗ってDeep Planeと言いつつ、糸リフトでごかましている医師でフェイスリフトしたら失敗必至です。

 

さて、3部構成にしてお送りしたフェイスリフトのコラム記事お楽しみいただけましたでしょうか?

 

3部構成にしましたが、まだまだ語り足りない部分があるのでこれについては“番外編”があるとかないとか。

 

乞うご期待?