「斬、」
2018年 日本作品 80分
中洲大洋劇場 14:30 ★★★★☆
      
監督=塚本 晋也
脚本=塚本 晋也
出演=池松 壮亮
   蒼井  優
   塚本 晋也

刀の美しさ残忍さ、人が人を斬ること、それに葛藤すること、それぞれのシーンが心を揺らし自問自答させられます。
ただ、塚本晋也監督のクセが強すぎて圧倒的な自慰的行為を見せられたかのような感じもあって、観る時間帯や体調によって印象が変わるだろうなと思えます。

池松壮亮くんは安定の覇気の無さで時代劇の中で見ると新鮮な気もするし、蒼井優さんの次第に壊れていく演技には圧倒されます。
塚本晋也氏の、一見棒演技に見える佇まいが逆にリアリティを醸し出す感じは、何時ものらしさで安定しているので安心して観ていられます。

最初の鍛治のシーンから音に拘る演出が秀逸で、短い尺ながら緊張感のある展開が続くので観終わると、ドッと疲れがくる感じが非常に満足できます。
 

 

 

 

 

「機動戦士ガンダムNT ナラティブ」
2018年 日本作品 100分
Tジョイ博多 17:10 ★★☆☆☆

監督=吉沢 俊一
脚本=福井 晴敏
出演=榎木 淳弥
   村中  知
   松浦 愛弓

ニュータイプを前面に押し出した所為で、ガンダムのリアルな世界観が置き去りにされてるように感じますね。
それに本来だったら、1クール程度掛ける展開を無理矢理一本に詰め込んだようで、主人公3人の背景は雑だし、ぶつ切り感が半端ないなという印象です。

しかし「機動戦士ガンダムUC ユニコーン」の続編としては、キャラクターのその後がちょっとだけ描かれていて、おまけとしては有りかなと思えますが、正史の続編として宇宙世紀を続けていけるかどうかとしては微妙かなと感じます。

それにしてもキャラクターデザインの所為もあるけれど絵が雑に感じるし、メカニックも後半だらけてきてるなと感じて、せっかくスクリーンに掛けてあるのに勿体ないと感じてしまいます。

 

 

 

 

「ハード・コア」
2018年 日本作品 124分
Tジョイ博多 19:20 ★★★★☆

監督=山下 敦弘
脚本=向井 康介
出演=山田 孝之
   佐藤  健
   荒川 良々

山田孝之氏がプロデュースにも携わっているだけに、ビジュアルの再現が完璧でそれだけで満足できます。

作劇がどちらかというと、暑苦しさや泥臭さよりもシュールな画面作りの方に力が入れられていると感じますが、かといって笑えるシーンが有るわけでもないので、観ている側はどうしていいのかわからない、といった構図になってしまっているなと感じます。
突如現れる古びたロボットが妙な雰囲気を出していながらも変に馴染んで、社会を学ぶ姿は印象的で、山下敦弘監督の描き方に感嘆できます。

キャスティングがまた秀逸で、斬新な首つりパフォーマンスをされていた首くくり栲象さんの会頭役は印象深く、これから楽しみな役者に成られるかなと思っていただけに、既に亡くなられたのが惜しい方です。
また、平成ウルトラマンシリーズ初期3部作で元気な役回りを演じていた石橋けいさんが、爛れた30台の女性に変貌していてこれからの役どころに注目ですな。