「きみの鳥はうたえる」
2018年 日本作品 106分
DENKIKAN 11:20 ★★★★★

監督=三宅  唱
脚本=三宅  唱
出演=柄本  佑
     染谷 将太
     石橋 静河
         萩原 聖人

ダラダラと流されるだけの若者のリアルな生活を淡々と描いているだけですが、佐知子を演じる石橋静河さんが妙にスクリーンに映えて綺麗だなと感じ、ダメな女がダメな男に助けを求めて、ダメさを堪能する辺りや、突然女を出して真面目になる辺りの女子の面倒くささと愛らしさを巧く演じていて非常に満足できます。
それに佐知子と「僕」と静男の三人のバランス感覚は絶妙だし、舞台が函館だからなのか、乾いた空気感も魅力的に感じてラストまでスクリーンに惹きつけられます。

主人公3人の描写が丁寧だし、周りの人たちもモブではなく生活感があって、群像劇としてしっかり伝わってきて非常に満足できます。
言葉にしなくても、それぞれの心情が自然と出ていてそれが自然と伝わってくるし、カメラワークも場面場面でフォーカスしている人物から離さない感じが巧いなと感じて三宅唱監督の描写力の強さを感じます。

クラブのシーンでの各人を追う動きも良いですね。

劇中カラオケで佐知子が「オリビアを聴きながら」を歌うのですが、これが作品と非常に合っていてわたし自身の20代の頃が蘇ってきて泣けてくるし、なんともいえない余韻が残ります。