現在の日本の政治は一言でいうなら野合である。個々の政治家には見識や政策観のある者がいるが、結局政局でしか政治が動かないというのは、個々の官僚に優秀な人材がいても結局省益でしか行政が動かないのと酷似している。この原因は日本式人事システムがもはや賞味期限切れになったことを示している。


 具体的にどうすればいいかといえば、消費税・規制緩和・社会保障の規模など主要な対立点について一致する者が政党を作るか、それができないのなら政党政治を廃止して、法案ごとに個人の政治家が自由投票をするシステムが必要であろう。究極的には首相の公選制にもつながる。つまるところ、日本の間接民主主義は機能していないからだ。


 人事システムについていうなら、肩書き重視や後継指名制の廃止が必要で、特定の人に公職が集中するシステム、つまり人脈でしか物事が動かないシステムを変えるべきであろう。人脈主義で仕事をすると、結局は最初の人物の器以上の人物が得られず、仕事もその能力的限界に規定されるからである。企業の人事のあり方が官僚や政治家の人事のあり方の鏡になっており、日本式人事システムのスクラップアンドビルドが望まれる。


 もう一つ日本の政治に古くて暗い陰を落としているのは対米従属である。これを私は平成の鹿鳴館主義と呼んでいる。日本国憲法をはじめとして、戦後米国のお仕着せで成長してきた日本人は米国の傘から出て自立することに躊躇いがあるのであろう。だが、子供に親離れが必要なように日本もアメリカ離れをしなければなるまい。親がいつまでも存命でないようにパックスアメリカーナも永遠に続くわけではないのだから。