このたびの震災で、日本政府は数々の外国の支援を断った。その理由は簡単にいうと、わが国の規制に合致しない、あるいは法律上のてあてができないなど官僚主義的理由によるものである。

一方一見関係ないようだが、就任したばかりの復興大臣が宮城県知事に自ら知恵を出さないもの援けないと本音を述べた。政府に比べて現地の地方自治体はよくやっているというのが巷間の評価のようだが、実際はそうともいえない、この国の官僚主義、根拠法はなにか、原理原則はなにか、だれが責任を負うのか、そうした阻害要因がユニバーサルに働いているのだ。それは瓦礫処理などに限らない。

もっとも日本人というのは自給自足独立独歩、狭い範囲での村社会を作る傾向があるので、独り公務員だけの欠点ではないのだが。

 さて、阪神大震災とことなり、ボランティアが少ないのは被災地の要求とマッチしないからでもあるが、福島県については震災の物理的傷害だけでなく、放射能についての恐怖、風説のような精神的傷害も多々みられる。そこで、セカンドオピニオンクリニックの経験者である筆者もそうした問題についての医療相談をオファーしたのだが、官僚的理由で断られた。福島医大に適切な人材がいるなら結構だが、福島県は父祖の地でもあり残念なことであった。

義援金が届かないことが注目されているが、それも行政機構の非効率性にあることは論をまたない。

この国の公務員はコンプライアンスと減点主義によって毒されていて、その能力を充分住民サービスにいかすことができていないようだ。