ただ話したかったんだ
今の俺は俺であって俺でない
ここで姉上の話をできるやつなんていないつーか俺も話したくねぇし……


ガタッーー!!

飯の時間勢い良く隣に座ったのは

「てんめぇ総悟…俺に何か言う事ねーのか…?」
「あぁ土方さん、お疲れさんでした」
「違ぇだろが!!このドSヤロー!!」
「まぁそんな怒らねーでくだせェ、ほらこれプレミアムっつーマヨネーズがあったんで買っときやしたで」
「ん?おぉ…悪ぃな…」

こいつぁほんとどこまでマヨネーズバカなんだか…

土方のヤローは嬉しそうに飯にマヨネーズをかけて口にした

「ん?うーん、これなんか変な味しねぇーか?プレミアムだからか…?」

何かブツブツいいながら飯をくう土方

くくくっ…その賞味期限が三年切れのマヨでも食ってそのまま腹下して逝きなぁ……

「手に入れるの苦労したんでさァ…なんて言ったって3年待ちの代物なんですぜぃ」
「総悟…お前…そんなに俺の事…」
「ごちそうさんでした。じゃあ俺先に失礼しやす。ごゆっくり」
「おう!ありがとな!……∑!!ぐぬ…」
「どうしたんですか?土方さん」
「あのヤロー…!!ぐは…!!総悟ーーー!!!!」





部屋にてーーー…


あー土方のヤローはもう死んだかな…
俺は風呂もすみへやでのんびりしていた

この時間がたまらない
何もない時間誰もいない時間が今の俺には辛かった

「はぁーーー…」

深くため息をついたその時だった、

コンコンッーー…

「ん…誰でィ…」
「お休みのところ失礼します。ハルナです。お話があるとの事でお部屋に伺いました…」

あー、そうだった…

「どーぞ、入って下せェ」

スーー…

「失礼します…。」

優しく引き戸を開け部屋に入るハルナ、改めて見てもやっぱり綺麗な女だった

「すいやせんね、わざわざ呼び出したりしてこんな事するつもりじゃなかったんですけどねィ…近藤さんに聞いたら体が勝手に…」
「局長…ですか?」

おぼんの上には急須に湯飲みが二つと茶菓子。
丁寧に部屋に運び部屋の中心にあるテーブルに並べた

「私は全然大丈夫ですよ、なにかありましたか…?」

心配そうに俺の顔を覗き込む

「あんたが姉上の…」

言いかけて、何かが溢れ出した
ずっと誰にも見せられなかった俺だ…

「俺は一番隊隊長の沖田総悟だ…弱いところは…見せちゃいけねぇ…でも…たった1人の大事な肉親だったんでさァ…」

自分が何を言ってるのかよくわからない
とにかく今の気持ちを誰かにぶつけたかったんだと思う

「はい…。」

小さく相槌を打つハルナ

「あんたなら話せると思ったんでさぁ…気持ちの整理をしたい…。姉上の事いろいろ話してくれやせんか…?」

するとハルナは優しく微笑んで話し始めた

「私がミツバ様に出会ったのは丁度真選組が結成されたすぐ後の事でした。私の両親は攘夷獅子と幕府との戦争で死にました。一人孤独で死んだも同然の私を拾って下さったのがミツバ様です」

こいつは…

「ミツバ様は私に言ったんです。可愛い弟がつい最近私を置いて出てしまった…大事な人も…私の側にいてくれない…?って…私すごくびっくりしてでもその人はとても優しい声で優しい目で私なんかに声をかけて下さって…だから少しも疑わなかったし側にいたいと思ったんです。」


あぁそうか…こいつは…

「それからは仕事も見つけて…一緒にご飯を食べて、買い物に行って、すごく素敵な日々でしたっミツバ様いつも自慢げに…楽しそうに沖田隊長の事話してっ…」


言葉に詰まるハルナの顔を見るとその目は涙がいっぱい溜まりこぼれ落ちる寸前だ

「私…ミツバ様にお返しできないくらいのご恩をいただきました…なのに私は…何も…何も知らずに…お側にいて差し上げる事も…!!何にもっ…すいません、私…」

そういったところで俺は自然とハルナの側に行き手を握って言った

「俺の代わりに…泣いてくれやせんか…頼んまさァ…」
「沖田…隊長…」

するとハルナは俺の手を握り返しもう片方の手で少し震えているその手を包んだ

「私っ…ミツバ様がご結婚されるって聞いてっ嬉しくて!ただ嬉しくて…何にも知らずに喜んだっ…!!でも聞いたんです…真選組の方達がお話してるのっ…私何もっ!…うぅ…うぇ…」
「あぁ…分かっとりやす」

ハルナは何かが溢れたように泣き出した
俺をハルナが強く握り返した手を握りながらただそれを見ていた



わかったよ姉上…
こいつは姉上が遺した形見だ…姉上の代わりに…俺がこいつの側にいる
俺が必要なくなるまで…側にいてやるでさァ…

ひっくひっくとおえつするハルナに俺は言う

「なぁハルナ、これからは俺が姉上の代わりでさァ、俺があんたの側にいてやりやす。」

驚いてこっちを見たハルナ

「えっ…それは…」
「あぁ、お前がちゃんと幸せになるの…見届ける」
「…ありがとう…ございます…」






あの時の俺は馬鹿だった
まだ自分の気持ちに気づいていなかったからそんなことが言えたんだ











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