とにかく腕が痛い。痛みに耐えながら、手配してもらった北赤羽の医療施設の救急外来にタクシーで到着すると、若い医者たちが、採血の針を刺し、心電図の器具をセットし、てきぱきと手際よく問診と検査を進めていく。研修医が多い病院のようだ。

血液検査が済むまで、医師たちの控室を兼ねた処置室にストレッチャーごと入れられた。

約一時間、バイタルを計測するモニター音を聞きながら、血液検査の結果が出るのを待った。

 

何故かこの日のディティールをよく覚えている。

若い研修医たちは、私のことをお構いなしに処置室でダベっている。

「〇〇先生、何で非番なのに出てきて指示とか仕切ってんの?」「いっつもだよねー」

「39度の幼児が運ばれて来るって」「それで救急搬送要請しちゃうの?」「お父さんが一人で子守り留守番中だったんだって」

すぐにそれとわかる救急車と患者到着。処置の後、赤ちゃんは私の隣のベッドへ。すぐにすやすやと静かになった。良かった。

 

さて私はこの間、とにかく激痛。痛み止めを処方して欲しいと訴えた。点滴をしてくれたがなかなか効いてこない。

腕と脚の激痛にひたすら耐える。

暫く待って、ようやく入院病棟へ。人生初の入院生活が始まった。

若い看護師が躊躇なく尿カテーテルを挿入。ちょっと痛かったが排尿は楽になった。

 

21時頃、朝から丸1日付き添ってくれていた妻が心配そうに帰宅した。

一人になると、晩御飯のことを忘れていたことを思い出した。そもそも食欲はあまり無いが、少しは食べたい。しかし入院初日はご飯は出ないことを看護師も伝え忘れていた模様。既に売店も終わってしまった。すると、看護師が自分の手持ちのクッキーを渡してくれた。それだけで充分。大いに感謝。

 

激しい痛みの中、不安な一夜を過ごした。