いよいよ最終日。この日も晴れ。すがすがしい朝。この日の前半戦はマユール(標高3600m)からひたすら下り、ジープが通る道とぶつかるダルサンディ村(2700m)までの道のり。距離にして15キロ弱といったところか。引き続き辺境の地であることには変わりないが、第1~3日目とは違い、最終日はそれなりに人の気配がある里山のようなところも多く通過する。険しい道もほとんどない。そして後半はジープの道を辿って終点のヤスィーン村(2300m)までの道のり。道に迷うような心配もない。順調にいけばお昼ごろまでには終われるかもしれない。ここまで来ると、一刻も早くヤスィーン村に到着し、宿でシャワーを浴びてサッパリしたいという気持ちがいっぱいであった。

 

ところが、けっこう時間がかかった。前半は、山々や畑などあたりの景色を楽しみながら、川沿いのなだらかな斜面を良いペースで歩いていたのだが、結局ダルサンディ村到着まで昼前くらいになってしまった。そして後半戦。「あとはジープ道に沿って標高400メートル下るだけだ」と思っていたら、歩いても歩いても到着しない。ガイドブックの地図をよく見ると、ダルサンディから終点のヤスィーンまでは距離にして10キロくらいはありそうだ。なかなか到着しないわけだ。なぜか2-3キロくらいと勘違いしていたので、少しイライラがつのる。そしてお昼くらいになると、とにかく暑かった。標高が低くなってきたので木陰も所々増えてきたが、全体的に気温が上がった。乾燥した土地に容赦なく降り注ぐ太陽により、気温は30℃をゆうに超えていたのではないか。最後は休み休みで時速2-3キロくらいかと思われるほどのゆっくりペースになり、結局ゴールのヤスィーン村に到着したのは午後3時を越えていた。最終日は楽勝だと思っていたのだが、気が付けば重い荷を背負って30キロ近く歩いたことになり、すっかり消耗してしまった。が、とりあえずゴール。

 

ヤスィーン村に入ると、あまり宿を物色することなく、中心にある宿に投宿。平屋だがコンクリート製の建物。電気も来ている。まずはシャワーを浴びて、ベッドにゴロっとした。すこし休憩した後、パキスタン北部の最大の街ギルギッドまでのジープを手配しようと外に出た。ギルギッドまでは距離にして150キロ。ジープは毎日あるわけではなかったようだが、無事翌朝に出発できることになった。

 

(つづく)