トレッキング第三日目の朝。空はどんより。キャンプ地の標高が4100メートルだったからか、立ち上がると少しフラついたが二人とも体調は悪くない。昨夜のカレーを温めて食べ、準備をして出発。

 

この日は峠越えである。視界は良好。目指す峠は1キロ先くらいに見えおり、そこまでの道も迷いようがない。相変わらず人の往来は全くなさそうだが、踏み跡らしきものもないこともない。標高もあるので、歩き始めるとさすがに少し息苦しかったが、2時間くらいで峠に到着。峠には石の柱が立っていた。ここまで3日間の道中、ほとんど人に会わず、峠付近も無人の風景であったが、石の柱という人工物には人の気配が感じられ、少しほっとした気がした。そして峠までやってくると、これから降りていくべき行程がすっかり見えた。ひたすら谷沿いに高度を下げていくのみである。あと3ー4時間くらいでキャンプ地に到着するはずだった。引き続き体調も良く、今回のトレッキングが無事に完了できそうな実感が湧いてきた。

 

↑峠は少し雪が積もっていた。バックはこれから降りていく方向

 

峠の後は、なだらかな下り坂が続くばかり。そのうち晴れてきた。息も楽になってきてドンドン歩く。

 

↑振り返って見える峠の風景。右前方が峠。左の雪山が標高6000メートル越えのアスンバル山

 

この日のキャンプ地の周辺には、何軒かではあるが集落と呼べる家屋があり、マユールという地名もある。この集落に差し掛かるところで、住民のおじさんに呼び止められ、ヨーグルトをご馳走になった。カレー皿くらいの、ヨーグルトを食べるには大きなサイズの皿に目一杯振舞ってくれた。このおじさんはかなりの大家族で、おじさんと10人くらいはいそうな子供たちに見守られながら、我々は地面にどっかりと座り、ヨーグルトを平らげた。午後の日差しが心地良く、最高の気分だった。

 

↑ヨーグルトを振舞ってくれたおじさんの家族。背景に見える家はとても原始的

 

そこからほどなくしてキャンプ地に到着。いくつかの家屋があるが、かなり広い草原である。付近に住む子供たちが集まってきて、我々がテントを立てたり食事を作る様子をしげしげと見ていたり、時折話しかけてきたり大笑いしたり、やや鬱陶しかったが、そのうちいなくなった。彼らの土地を借りている身でもあり、機嫌よくしておこう。これで三日目が終了。翌日は最終日。5-6時間も歩くとジープも通る山道にぶつかり、あとはヤスィーン村までジープ道に沿って歩くばかりである。やったー。

 

↑キャンプ地にて。バックはこの日歩いてきた峠方面

 

↑同じくキャンプ地にて

 

 

(つづく)