デリーには1週間滞在。次の国であるパキスタンへ行く前に、ラジャスタン地方に行くことにした。パキスタンとインドの国境地帯にあるタール砂漠の真ん中にある中世の街ジャイサルメールに訪れてみたかった。ニューデリーから夜行で24時間ほどかかってジョードプルという街に到着。そのまま駅を出て最初に見た宿に泊まり、翌朝のバスで砂漠の真ん中にあるオアシスの街ジャイサルメールへ。乗客は私だけというガラガラのバスで砂漠を横断する道を6時間。時折道端のブッシュから砂漠に棲む野生の孔雀が現れたりするのに驚いたりしながら、お昼過ぎには到着。

ジャイサルメールは、古い城壁に囲まれた街並みは手つかずの文化遺産のようになっていて、必ずしも交通の便が良い場所ではないが、東西の交易路上に造られた城郭都市で約千年ほどの歴史がある世界遺産の街でもある。ただし、私が訪れた酷暑の5月は完全にオフシーズン。宿はたくさんあったが、どこもガラガラで、投げ売り状態。トイレ・シャワー付きの広いシングルに50円ほどで泊まれた。ただ、本当に本当に暑い。コンクリのの建物全体が焼けてしまって、夜になっても部屋の中の気温は軽く30度以上と思われた。あまりに暑いので、宿の人たちに倣って夜は屋上で寝た。すでに何台かベッドが置いてある。砂漠の夜は星が降るほど見えるかと期待していたが、そうでもない。また、午前3時ごろになるとかなり寒くなってきて、結局部屋に戻った。そろそろ部屋の温度もマイルドになっているだろうと思ったが、思いのほか室内の気温はほとんど下がっておらず、かなり寝苦しかった。建物の保温力は凄いものだなと感心した。

暑いジャイサルメールであったが、比較的過ごしやすい朝に少し歩き回り、昼には食事だけをしに外出し、夕方にまた少し散歩に出た。あとは室内で過ごした。室内は外よりマシだか、私の泊まった宿のようにクーラーなどない部屋だとしっかり暑い。以前ジャイサルメールに行ったことのある人に聞いたところによると、街はずれに丘があり、ここから街の眺めが最高であるとのことだった。特に夕方が良いとのことだったので行ってみた。砂漠の中に城壁に囲まれた街が浮かび上がるようにあり、特に石造りばかりの建物に陰影がくっきり出る夕暮れ時は確かに風情がある。ただ、街はずれの丘は、野良犬が多い。インド中の街に数多くいる野良犬はジャイサルメールだけのことではないが、だいたい昼間はおとなしく道の端っこなどで寝ていて、夕方になると活発になってくる。(夜になると狂ったように暴れていることもある)。この時も、数匹の野良犬がウロウロし始めていたので、街の眺めを楽しむというよりは、確認だけしてまた戻った。

なんだか暑いし、ジャイサルメールはあまり楽しめなかった。ニューデリーの宿で久しぶりにたくさんの日本人と交流して楽しんだ後でもあり、また独りになると余計に退屈な感じがした。短い間であるが砂漠の街も十分堪能した気持ちになったので、わずか2泊の滞在であるが、いったんニューデリーに戻ることにした。ニューデリーへは、半日ほどバスにのって、引き続き砂漠の街であるビカネルに一泊し、翌日の朝の鉄道に乗り、夕方にニューデリーに到着。結局2泊のジャイサルメールのために往復の移動含め1週間ほどのラジャスタン地方の周遊となった。

ニューデリーではまた先日の宿に戻った。が、ガラガラ。ここを出た6日前までは満員だったドミトリーは、自分の他に一人しか旅行者がいなかった。人がいないと同じ宿とは思えなかった。さっさとパキスタンへ行こうと思い、一泊だけして、翌日にはパキスタンへの国境の街アムリトサルへ鉄道で向かった。

 

↑城壁の外にある宿からの城壁の風景

 

↑城壁の上からみた城壁の外の風景

 

↑街はずれの丘からのジャイサルメールの全景

 

(つづく)