1年7ヶ月前の5月9日㈮、私達は今現在住んでいるアパートに引っ越しが決まりました。
引っ越しの数日前から、以前住んでいた所の市役所の方々と、新しく住む所の市役所に行って引継ぎ手続きをしたり、子供達の学校の手続きをしたり、新しく住むアパートの管理会社に電話したり、ガス・電気・水道の開通の手配をしたり、色々と忙しく準備をしました。
アパートへの引っ越し。
それはとても喜ばしい事でしたが、そこからが本当の意味で私達にとってのまぎれもない現実でした。
まず引っ越しと言っても、私には何一つ家具も家電もありません。
何もない部屋に、いきなりぽーんと送りこまれたような状態です。
周りには知り合いなんて一人もいないし、今いる場所もよくわからない。
冷蔵庫・洗濯機・炊飯器・電子レンジ・テーブル・電話・テレビなどなど・・・
とにかくあたりまえにある物が何一つ無い状態です。
そしてそれらを一気に買いそろえるお金ももちろんありません。
お布団セットだけは、保護施設に入る際に用意して頂いて、後から自分たちで支払う感じになっていたので寝れないという心配だけはなく大丈夫でした。
とりあえず急いで100円均一に行って必要最低限の箸やお皿やコップなどを用意しました。
ガスコンロだけは最初からついていたので、その日の夜は買ってきた焼きそばを作って、三人で床にレジャーシートを敷いて遠足のようにして食べました。
私の心の中はとてもみじめでこの先の事を考えるとパニック状態でしたが、とにかく考えるのをやめ、子供達が楽しめるよう出来る限り楽しく食事しました。
今現在になって子供達は、「あの時は何にもなかったけど遠足みたいで楽しかったね~♪」と言っているので、嫌な思い出になっていなくて良かったなと思いました。
それにしても、生活必需品が無いのがあんなに大変な事だとは思いませんでした。
まず一番大変だったのが洗濯機。これがないととても大変で、家に洗濯機がくるまではコインランドリーに行くしかありません。
お金もかかるので、とにかく服が溜まったら自分が入れるくらい大きな袋に洗濯物を詰め込んで歩いて20分くらい先にあるコインランドリーに行って洗濯して帰ってくる。
ものすごく重くて大変なうえに全く知らない初めての土地なので帰りに道に迷ってしまい、重い洗濯物を担いで1時間くらい歩いてやっと家に着いたこともありました。
次に冷蔵庫。冷蔵・冷凍品が買っておけないので大変でした。
ありがたい事に市役所から少しですが家具などを買うための支度金として援助もありとても助かりましたが、もちろん全てを買える程出る訳ではないので、毎月少しずつ家具・家電を増やしていくしかありません。
そしてとにかく買う順番。どれから買えば良いのか物凄く悩んだのを覚えています。
ちなみに、一番最初に購入したのが炊飯器。
お米さえあれば何とかなります。
次が洗濯機。
次が冷蔵庫。
こんな感じで必要な物から徐々に増やしていきました。
頭とインターネットを最大限に活用して、今思えばありえない安さで家電や家具を購入していきました。
おそらくあの時が人生の中で一番頭を使ったかもしれません・・・(笑)
今ふりかえると、あの何も無い不便な感じは、物に対する大切さや必要性を本当に実感することが出来てとても良い経験になりました。
私達がこうしている間にも、あの男は今の家以外に別の場所に新居を購入したり、また別の新車を購入したりやりたい放題している(お友達情報)のに、なんで被害にあった私達の方がこんな思いをしなければならないのかと何度も思いましたが、そんな不満を心に溜めるより、別の考え方をしていかなければこの先やっていけないと思いました。
後ろを向いていても何も手に入らない。
日々の生活の中で、失敗だろうと何だろうと無駄な経験なんて一つもない。
人間はとにかく経験しなければ何かを得る事は出来ません。
あんな状態で家を出てきた今、贅沢が手に入らないのは当たり前の事。
でもそんな事より、宝である子供達と一緒にいられるだけで、私は本当に幸せを実感できたのでそれだけで良かったんだと思っています。