あの男は、今冷静に思い返しても良い所が見当たりませんが、たった一つだけちゃんとしている事がありました。
それは誕生日・結婚記念日・クリスマスなどのイベント。
それだけはちゃんと覚えていてマメにプレゼントなどを用意する事は忘れませんでした。
結婚記念日などにはちゃんと手紙を添えていて、
「いつも苦労ばかりかけてごめん。愛してるからずっと側にいてほしい」
みたいな事が毎年書いてありました。
私は特別な事やプレゼントなんて何一つのぞんでいない。
ただ、普通に穏やかな日々が送れればそれだけで本当に良かった。
苦労かけているとわかっているなら、なんであんなひどい事を言ったりやったり出来るのか?
愛しているならどうして大切に出来ないのか?
私の中では疑問だらけでした。
このプレゼントにしても、ただ嬉しいで済めば良かったんですが、これまた面倒が多くて大変でした。
まずあの男が買ってきたものが嬉しくない物でも、凄く嬉しい表情と、これが欲しかった~!と言わないと機嫌が悪くなるので、合わせるのが大変でした。
それと、どこから来る自信なのか、私が欲しいと思っている物は何でも知っているという自信。
結局何一つわかっていなかったのですが・・・
逆に、私からのプレゼント。
開けた瞬間に気に入らないと、
「あ~この色ヤダ」
「これはいらないな」
と言われ返品や交換をさせられた事が何回もあります。
もし私が同じことを言ったりしたら、それはもう大変な事態になっていたでしょう・・・。
とりあえず毎日が辛すぎたのでその手紙の内容とプレゼントを買う気持ちだけは受け止めて、本人も悪いことはわかっているからとそれだけを考えて過ごしていました。
あの男の実家がとても複雑だったので、あのような人間になってしまったんだと思います。
どんな生い立ちであれ言ってはいけない事、やってはいけない事がありますが。
とにかく私が自分で選んだ人なんだから、何とか少しずつでも良い方向に導けるように努力しなければとも思っていました。