おとうさん。
山が大好きなお父さん。
一緒にきのこ採ったね。
山で食べたおにぎりは格別だったね。
小1の時一緒に富士山も登ったね。
帰りに詩の載ったきれいな色のしおり買ってもらって、ずいぶん長い間大切にした。
海でもいっぱい遊んだね。
公園で野球したね。凧あげをしたね。
朝5時に起きて毎日一緒にマラソンしたね。
近所の畑で土器のかけら拾ったね。
私が忘れ物をした雨の日、原付で勤め先から家に寄って学校まで届けてくれたね。
お母さんも激務で参観日に来れないことあったけど、数分顔出してくれたね。
ドアの所で手を振ってくれたお父さん覚えてる。嬉しかったよ。
先生だから夏休みが一緒。
お父さんのお昼ごはん、大好きだったよ。
お父さんの焼きそばは、今でも無性に食べたくなるよ。
ピーターパンのショーに連れてってくれたね。
プールで泳いだ後買ってくれたピクニックのいちごがすきだったよ。
思い出なんか書き切れる訳ないね。
寡黙で、でもあたたかくて。
手をつないだ記憶は殆ど無いのに、いつも手を離さず見守ってくれてた。
テニスの試合で県大会が決まった日、早く伝えたくて公衆電話で叫んだら、
お父さん泣いてるよってお母さんの声、今も聞こえるの。
あの頃からお父さんの気持ちを踏みにじって、すごくたくさん迷惑をかけたね。
普通じゃない。
いい歳しても親不孝な娘だった。
不良娘がそのまま大人になった。
迷惑をかけても、自分勝手にやりたいように生きた。
放浪したっていつもいつも応援してくれた。
そんなバカ娘が実家に戻り勤めだすと、お父さんは毎日おにぎりをつくってくれた。
毎日、具を工夫して。会社で食べろと持たせてくれた。
同僚と外で昼食をとる私は、とても食べ切れなかった。
でも、嬉しそうにおにぎりを渡してくれるお父さんに、もうつくらないでねって、
言えなかった。
お父さんの顔が浮かんで、それを捨てることができない。
トランクに、たまってった。
紙袋にたくさん入った腐ったおにぎりを、お父さんが見つけたね。
大切な人を傷つけると、同じ痛みを味わうんだなって、いい歳して初めて感じた。
次の日から、たくさんの具が入ったばくだんおにぎりとお父さんの笑顔のセットは、なくなった。
おとうさんの愛情のつまったおにぎりは、二度と食べられないって思って、
お客さんいるのに涙と鼻水が止まらなかったよ。
ごめんね、なんてうすっぺらな言葉とても口にできなかった。
今更直接話せないからこんなとこでつぶやいて、はなえはほんと救いようがないね。
お父さん。
なんにも恩返ししてない私を、
まだ、愛してくれてるかな。
会うたびに髪が白くなって小さくなるお父さん。
はなえはね、やり直しなんかとてもきかない、救いようのないダメな娘だ。
でも、お父さんが大好きだよ。
お願いだからずっとずっと、元気でいて。
ばくだんおにぎりが食べたいよ。
お父さん。