昨日、NHKテレビでヤングケアラーの中学生を取り上げた「向こう岸」というドラマを見ました。

1時間ちょっとの単発のドラマでしたが、見応えがあり、ヤングケアラーの現状がよく描けていると思いました。

 

彼女の母親は精神を病んでいて、家事も幼い妹の世話も一手に担っていました。

父親はすでに亡くなっていて、生活保護を受けて生活していましたが、心ない級友からは「税金を使ってずるい」と言われていました。

 

彼女は家事をしながら「無料塾」に通い、高校進学を目指しています。

日々の生活が過酷であることは見ていてわかりますが、雨の日に、学校から帰って来て、洗濯物を急いで取り込んだときのことでした。

母親に向かって「洗濯物くらい取り込んでおいてよ」と怒鳴りましたが、私もうつ病の母の介護をしているときに、同じような経験をしていたので、その気持ちは痛いほどわかりました。

言われた母親は、「頭がごちゃごちゃしていて、迷惑をかけるばかりで、何も出来ない」と言って、頭を壁にガンガンと打ちつけました。

 

彼女のクラスには有名私立中学で落ちこぼれて、公立の彼女の通う中学に転校してきた男子生徒がいました。恵まれた家庭の子でしたが、エリート主義の父親からのプレッシャーに押しつぶされそうになっています。

この二人が接点を持つようになり、彼は彼女の家庭の事情を知ることになります。

 

高校には進学出来るにしても、彼女はその上の学校まで進学し、看護婦になるという夢は叶わないと思っていました。

生活保護を受けていると貯金もしてはいけないらしく、アルバイトをしてお金を貯めて進学する道も閉ざされていると理解していたからです。

 

ところが、男子生徒はいろいろ調べて、彼女が世帯分離をすればお金を稼いでもいいこと、生活保護を受けていても、同時に母親が介護サービスを受けられることなどを伝えます。母親は審査を受けて家庭の恥をこれ以上、世間にさらしたくないと躊躇しますが、結局は受け入れます。

 

さて、今回の上記のタイトルについてですが、「思ったこと」と言うより、「強く言いたい」と思ったことがあります。

 

行政の援助を受ける際に、躊躇している女子生徒に、男子生徒の塾の先生で元はケースワーカーをしていた女性が言った言葉です。

「支援を受ける人は、申し訳ないとか、恥ずかしいとかみんな言うの。でもね、情けなかろうが、何だろうが、助けが必要なときは必要なの。

嘆いても責めても人は変われない。もし変われるとしたら、誰かと関わりをもつその時だけ。それが出来なくて、泥沼にはまる人をいっぱい見てきた。

あなたはどうなりたいの」

そして、女生徒も彼女の母親も介護サービスを受けることになります。

 

テレビドラマのタイトルは上記に書いたように、「むこう岸」でしたが、「もと優等生中学男子 ヤングケアラーの女子…涙の逆転劇で未来をつかめるか」でした。

 

ドラマの最後は男子生徒も女子生徒も誰かと関わりを持つことによって、未来をつかもうとしていました。