あなたの一番の願いは何ですか?
あなたがヤングケアラーなら、家族の介護をしないで、普通の生徒、学生として学校生活が送りたいと思っているのではないでしょうか?
特に大それた望みを抱いているわけではない、普通に暮らしたいと思っているだけなのに、なぜそれが叶わないのかと……
こういう経験は誰にでもあることではないでしょうか?
「他のことはいいからこれだけは叶えてほしい」と思っているのに、それが叶わないのです。
私の一番の願いは「家族が健康に暮らすこと」でした。
豊かな生活がしたいとも、海外旅行したいとも、美味しいものをたくさん食べたいとも思いませんでした。
願いはただ一つ、家族が健康に暮らすことでした。
けれど、私の願いが叶うことはありませんでした。
息子は20数年、2つの難病を抱えていて、時々胸痛の発作を起こしたり、ステロイド剤の服用が欠かせなかったので疲れやすく、学生時代はともかくとして、勤め始めてからは、やる気はあっても思うように進まないことが多く苦労しました。
私はその度ごとに心を痛め、励まし続けました。
そして、息子は3年前にすい臓がんを宣告され亡くなってしまいました。
何も欲張っていない、健康だけを願っただけなのにと思いましたが、実はそれが一番難しい願いだったのかもしれないと思い至りました。
息子にはもう会えないけれど、毎日、机の上に飾ってある息子の写真に話しかけ、時々、息子が遺したツイッターを読んで、息子を身近に感じています。
以下は、息子のツイッターです。
「癌と告知されてから約1年。
忘れもしない。誕生日に癌と告知されたので。
最近、緩和ケアの先生に、とても癌患者には見えないと言われた。
まあ、もともと、他にも何万人に1人だの何十万人に1人という病気を持っているから、そうそうやられない」
言葉どおり息子は最期までガンにやられてしまうことはなく、希望を失わずに前向きに暮らしていました。
一番の願いは叶わなかったけれど、難病のため仕事も上手くいかないことが多かった息子が、望んでいた結婚もできて、周囲の人に恵まれて暮らせたことは、幸せだったと思えます。
叶わないこと、出来ないことなどマイナスを数えて生きるより、出来ること、ささやかな楽しみを見つけて生きることを選びたいです。