両親、祖父母、またはきょうだいの介護に多くの時間を費やしているあなたは、毎日、学校に通うだけでも大変で、高校受験が近づいたこの時期になっても、思うように受験勉強に取り組めないこともあるのではないかと想像しています。

 

家族のケアと勉強も両立出来て、希望する高校に入学出来る生徒も中にはいるでしょう。

けれど、それは並大抵の努力で出来ることではないと思っています。

 

そこで、家族のケアをしていて、学校を休みがちであったり、不登校、または学校の成績が極端に悪い(教科の成績の大部分が2や1)場合に、前回の記事にも書きましたが、おススメの都立高校があります。

都立チャレンジ高校です。

 

その理由は、

①     中学からの調査書が必要ない(中学校の教科・科目の評価が問われないということです)。

②     入試は面接と作文、それと願書とともに提出する志願申告書

③     授業は3部制で行われ、午前部・午後部:夜間部のいずれかを選択出来る(例えば、午後部を選んで、午後部の授業だけを受けた場合、4年で卒業することになります。3年で卒業したい場合は、週に2日ほど他の部の授業も受ける必要があります)

④     授業は中学の復習から始め、ていねいにわかるまで学べるような授業が行われている。

⑤     74単位を取れば卒業でき、留年や落第はない。

⑥     必修科目の他に、普通科の高校と異なり、選択科目が多いので、生徒は興味・関心のある科目を選んで学習できる。

⑦     カウンセリングやキャリアガイダンスが手厚いので、安心して学校生活が送れる。

 

都内には、現在、都立チャレンジ高校が6校あります。

①     六本木高校(港区)

②     大江戸高校(江東区)

③     桐ヶ丘高校(北区)

④     世田谷泉高校(世田谷区)

⑤     稔ヶ丘高校(中野区)

⑥     小台橋高校(足立区)

 

入試の競争率についてですが、都立チャレンジ高校が開校された当時は人気があって、倍率も高かったのですが、私立の通信制高校や通信制サポート高校など不登校や・学力不振の生徒を対象にした高校が増え、選択肢が広がったせいか競争率は低くなっていて、合格する確率も高くなっています。

ただ、私立はかなり授業料も高いうえ、希望すれば大部分の生徒は受け入れてもらえることも、メリットであると同時に、デメリットでもあると感じています。

チャレンジ高校受験は、精神的にも肉体的にも多少負担はかかりますが、これまで家族のケアに取り組んできたあなたなら、挑戦したほうがいいように思います。

 

また、雰囲気についてですが、チャレンジ高校は、これまでの中学校生活に馴染めなかったり、違和感を覚えている生徒が大部分なので、同級生同士、わかりあえる部分も多いかと思います。

 

チャレンジ高校の入試で、事前に書いて提出する「志願申告書」に、「将来の夢・希望」について、300字~400字程度で書く欄がありますが、不登校や学力不振の生徒と同様に、ヤングケアラーのあなたも現時点で、夢や希望について書くのは難しいと思います。

これまで私が関わった生徒は、夢や希望を語る以前に「ふつうになりたい」と言っていました。

「ふつう」とは、毎日学校に行って、友だちと付き合って、部活もやりたいーーそういうことです。

「これまでの自分はふつうではなかった。だからこれからはふつうになりたい」――生徒にとっては切実な願いだと感じています。

 

なお、願書とともに提出する「志願申告書」を作成(1200字から2000字程度)することも、高校進学時、または将来的にもわたっても非常に役に立つと思っています。

なぜなら、それは自分との対話だからです。

不登校の生徒も、学力不振の生徒も、自宅や学校で家族や友だちと会話することが少ないように思います。

そうすると、自分の気持ちや考えを他人に話す機会も少なくなり、言葉が上手くでてこないこともありえます。

けれど、自分の思いや考えを他人に話せる、あるいは書くことができるようになって初めて、未来は拓けていくと、私は信じています。

 

それぞれのチャレンジ高校について知りたい方は、私のもう一つのブログで詳しく紹介していますので、参考にしてもらえればと思います。

https://kateijuku.blog.ss-blog.jp/

 

付け加えると、10月、11月は都立チャレンジ高校の学校説明会や文化祭があります。

時間的に余裕がないかもしれませんが、少しでも興味を持ったら、実際に行って自分の目で確かめることをお勧めします。