元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 (oneテーマ21)/KADOKAWA/角川書店
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著者の森下信雄氏は岡山県立高梁高校の出身、ちょうど筆者と同じ時期に四国の地方国立大である香川大学経済学部を卒業している。
森下氏は、大阪の阪急電鉄に就職後、西宮球場の副支配人や宝塚歌劇団の総支配人をつとめた方である。阪急沿線で少年時代の数年間を送った私から見れば、「阪急ブレーブス」や「タカラヅカ」は生活の一部でもあったので、非常にうらやましいお仕事に就かれていたことになる。

http://www.funaimedia.com/parson/parson.html?data_id=423


今回は、彼が書いた「元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略 (oneテーマ21) 」をご紹介しよう。

ただ、私はまだ中身を読んでいないため、amazonのユーザー・レビューから一部を引用させていただくにとどめる。経営書と言うだけでなく、タララヅカファンにとっても貴重な情報本のようである。読みやすい新書版である。



なお、その森下氏が、母校香川大学経済学部の招きに応じて、来春1月香川大学で講演を行うという。

在学生だけでなく広く一般市民の方も聴講可能となっているので、1月中旬と言う時期が時期ではあるが、推薦などで香川大学にすでに入学が内定して余裕のある高校生だけでなく、出願を迷っている受験生、2年生以下の高校生なども一度聴いてみるのはいかがだろうか。

申し込みは、リーフレットを参考に、平日香川大学経済研究所に電話またはメールをされたい。

http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/news/data/20160120.pdf


さて、先日高松で講演を行ったスロベニア大使の福田氏もそうであるが、香川大学経済学部のOBは後輩への面倒見がいい。古くは、故・大平総理も大蔵省(現・財務省)の若手官僚時代、高松の母校後輩のために同窓会誌「又信(ゆうしん)」に高等文官試験(現・国家公務員総合職試験)の試験対策法を寄稿している。この面倒見の良さは戦前の旧制高松高商時代から続く「又信学園」の伝統であり、小樽商科大学や滋賀大学経済学部など、同じ旧高商系の国立大学に共通する「美風」である。世知辛い世の中であるが、これからもこの「美風」が永く続くことをOBのひとりとして期待したい。



久米宏氏のBS日テレ「久米書店」より


>森下 信雄(もりした のぶお)氏略歴


森下信雄
森下信雄氏



1963年、岡山県生まれ。86年、香川大学経済学部卒業後、阪急電鉄株式会社入社。

鉄道現場(駅務員、車掌、運転士)、梅田茶屋町再開発計画担当、阪急西宮スタジアム(阪急西宮球場)副支配人を経て、98年、宝塚歌劇団に出向。歌劇団にて制作課長、星組プロデューサー、宝塚総支配人と宝塚歌劇事業全般を経験する。08年に株式会社梅田芸術劇場に出向、常務取締役として社業全般を統括。11年、阪急電鉄を退職。
現在は大阪で人材紹介コンサルタントとして活動する傍ら、エンターテイメント事業戦略論や観光・イベント事業論について関西大学、近畿大学等で講義を実施している。
http://www.bs4.jp/kumebook/onair/47.html



2015年12月18日 香川大学経済研究所HPより

>講演会「タカラヅカ 100年続いたロマンと算盤」を開催します。


 この度、第7回香川大学経済研究所主催講演会「タカラヅカ 100 年続いたロマンと算盤」を開催いたします。  

宝塚歌劇団は、女性だけで演じる世界に類を見ないユニークな劇団として、独自の発展を遂げてきました。昨年は創立100 周年を迎え、関西のみならず、日本中で大きな話題となりました。世界中から約1500 人の元タカラジェンヌたちが結集した記念式典や10年に一度の大運動会、「ベルサイユのばら」等人気ミュージカルの上映で、2014 年度の観客数は、本拠地の宝塚大劇場が約118万人、東京宝塚劇場が約97 万人と現在の劇場がオープンして以来、最多を記録したそうです(「日本経済新聞」、2015 年4 月9 日朝刊)。


 今回は、長年にわたり宝塚歌劇団の運営に携わり、本年1月に「元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略」を出版された、森下様にタカラヅカの100年続いたビジネスモデルについて、ご自身の経験談を交えながら、ざっくばらんにお話をしてもらいます。
 興味のある方はぜひお越し下さい。一般の方のご参加も歓迎です。


 講 師:森下 信雄 氏 (香川大学経済学部第34回卒業) 経営コンサルタント・元宝塚総支配人
 演 題:タカラヅカ 100 年続いたロマンと算盤
 日 時:平成28年1月20日(水)15:00~17:00
 会 場:香川大学経済学部 南1号館 第11講義室
 懇親会:香川大学経済学部1号館オープンスペース内 17:00~18:00


amazon内のユーザーレビューのうち3件を引用



(1)タイトル通りの本、ファンじゃなくても面白い
投稿者 そぞろ歩き 投稿日 2015/1/11


この本は、宝塚の経営側にいた筆者が、その体験に裏打ちされた、興行の裏側を赤裸々に書いてある本です。
宝塚礼賛本というわけではなく、まさにタイトル通りの経営戦略について論じています。
正直読んでいて、ここまで書いて大丈夫なのだろうかと思いましたが、だからこそ面白いのも確かです。
宝塚がなぜ成功しているのか、その冷静な分析には、うならされました。
また、各劇場での興行の決定システムを記したり、宝塚とAKBを比較したりしていますが、なかなか読ませる内容です。
宝塚の歴史を論じたり、スターを論じた本は多いでしょうが、こういった経営戦略に特化した本は珍しいのではないでしょうか。
宝塚のファンでなくても、エンターテインメントに関心ある人であれば、面白く読めると思います。


(2)今後のエンターテイメント業界を語る上で欠かせない一冊
投稿者 Sakomatsu 投稿日 2015/2/3

著者の森下氏は阪急電鉄に就職した後に宝塚歌劇団に出向し、10年以上に渡って総支配人として経営に携わってきた経歴の持ち主だ。
正直なところ書店で手に取った時は、ちょっと変わったビジネス経験を持つ会社員が書いたシロウト経営談義の類だろうと思っていた。
しかし読み進めるに従って、著者の緻密な分析力と重厚な議論の展開の仕方に感心しっぱなしだった。

たとえば宝塚経営は制作→製作→販売までを自社内で完結させる垂直統合システムを取っている。
その理由を説明する際に、教科書的には統合による経済性のメリット等を挙げていくのだろうが、著者は次のようにもう一歩深く踏み込む。

『作品制作の途中で「頻繁なる」「重要な」仕様変更が発生します。
つまり作品制作の過程で作家・演出家によるいわゆる「ダメ出し」や演出変更が発生した場合、大道具・衣装の変更やポスターデザインの変更等の作業が必至となるわけです。
その際の作業を迅速に処理できるか否かにコストダウンだけでなく、作品の成否自体がかかってきます。』
『(このシステムこそが)視覚に訴える豪華な衣装、トップスターがショーのパレードで纏うトップスターの象徴たる巨大な「羽根」、観客の度肝を抜く豪華絢爛な電飾照明や衣装の早替わり、素早い装置転換、そして緞帳が下りる間際の哀愁漂う男役の背中といった演出技法等・・・
ファン・コミュニティが「これぞタカラヅカ」と認識している、つまり差別的優位性の源泉である一つ一つの事象が宝塚歌劇団の美意識や世界観を醸成する』

と言う具合に宝塚経営の具体的な特性に即して、詳細に分析・説明している。

また、宝塚とAKB48の比較文化論も「シロウトの神格化」という概念を核にし、
先行研究等を無理なく引用しながら重厚に展開している。

少々ほめ過ぎのきらいがあるかもしれないが、今後エンターテインメント業界における経営論・文化論を語る上で欠かせない一冊になるような気がする。


(3)組替、東上、全ツ、退団などの「なぜ?」に経営の視点から答える
投稿者 ib_pata トップ1000レビュアーVINE メンバー 投稿日 2015/1/29

 

宝塚歌劇団は発足当初からの幸運なリソースを活かしつつ

①歌劇作品を「創って作って売る」効率的な垂直統合システム

②興業ビジネスで最も重要な「自主制作」「主催興業」の質・量両面での充実

③卓越した独特な著作権管理手法

④地方での興行を上手く取り込んだ実質的ロングラン興業戦略の実践―

というビジネスモデルを構築したと著者は書いており、しばらくは安定した経営を続けていけそうです(もっとも著者があげている4点のうち、著作権管理手法については?なんですが)。一般の男性サラリーマン向けに書かれた本ですが、宝塚ファンにとっても、知っていた情報の整理という面だけでなく、思い込みを修正してくれたところも多く、楽しめました。

 年間スケジュールの素案を策定するのは阪急電鉄歌劇事業部で、宝塚歌劇団、宝塚舞台も交えて調整する、と。その場合、機密事項であるトップスターの退団が決まっていたら、団体客の貸切公演を極力減らして利益率を上げる、と。一度に10人近くが退団することもあるが、2番手、3番手、新人公演主演経験者などが抜ける場合は、あらかじめ他の組から補充しなければならないという理由で組替えが行われる(p.24)。土日祝日に実施する貸切公演は、チケット代の利益率は落ちるものの、土産物を中心とする物販や飲食面の販促でカバーするとともに、平日公演に個人客を誘導することで、全体の稼働率を上げることが目的(p.29)など目ウロコ情報が満載。

  宝塚歌劇団は各組が宝塚と日比谷で1ヵ月ずつ公演を行うというスケジュールで動いているため、1公演当たりの制作費のコストダウンを図るためのロングランはできない。しかし、バブル期に乱立した「公共ホール」を活かした全国ツアーによって、実質ロングラン化を図っている、と。上演ソフトが慢性的に不足している地方ホールにおける宝塚歌劇興業の位置づけは羨望の的。ただし、地方興業主にもチケット販売は重要なので、こうした全国ツアーにはトップスターや2番手、3番手などの「スター口」を揃えなければならない、とか。

 週末に初日が開いた次の月曜日からの週の平日がもっともチケットの売り上げが悪いというの知らなかった。今年は100周年なので売れまくっているけど、次の友の会の抽選は、これ中心に申し込むぞ!と決意しました。