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簡単に言うと、
ウイグルの地下に眠ってる資源を
手放したくねぇから、
ウイグルの人、シナ人になってください。
らしいんだよな。
新疆ウイグルで、ウイグル人の迫害が続いている。 トランプ政権は、これを「ジェノサイド」(大量殺戮)だと断じた。バイデン政権も、中国の習近平政権に対して、同様の厳しい態度で望む模様だ。【写真】日本人は知らない…いま中国で本当に起きている「ヤバすぎる現実」 ジェノサイドと言えば、ナチスのユダヤ人虐殺(ホロコースト)を連想する。ナチスは奇怪な「人種理論」をもとに、ユダヤ民族をひとり残らず地上から抹消してしまおうとした。 まさか本気ではあるまい、と誰もが油断していた。でも本気だった。気がつけば600万人とも言われる人びとが、収容所に押し込められ、毒ガスで無惨に命を奪われた。中国が新疆ウイグルでやっていることは、これと同じホロコースト(民族絶滅)なのだろうか。 人権を踏みにじる、ひどいやり方には違いない。 けれども、新疆ウイグルで起こっていることは、ユダヤ人虐殺(ホロコースト)と違った種類のことである。これは、中国共産党をかばって言うのではない。性質の違うことがらは、どこがどう違うか見極めるべき。それが学問の第一歩だからだ。
これは「洗脳」だ
ユダヤ人虐殺は、人びとの身体を標的とし、物理的に抹殺することを目的にした。身体を滅ぼせば、精神も滅ぶ。身体も精神も、存在を許さない。根こそぎその存在をなくしてしまうのである。 これに対して、ウイグル人の迫害は、人びとの身体ではなく精神を標的とする。身体を物理的に活かしたまま、その精神を入れ替え、「中国人」にしてしまうことを目的にしている。 具体的には、どうするか。 自分の「精神を入れ替え」てください、などと思うひとはいない。精神を入れ替える、とは、洗脳である。本人の協力はえられない。ならば本人を拘束し、無理やりでも「洗脳」する。 洗脳は、これは洗脳ではありません、自分からそう考えました、と言ったときに完了する。これが、「職業再教育センター」がやっていることである。 なかには拷問で、虐殺されるひともいる。ほかの人びとを恐れさせ、抵抗をあきらめさせるためだ。これも洗脳の一部である。 ウイグル人は、もともと新疆ウイグルに住んでいた。自分たちは民族だという自覚がある。民族なら、「民族自決」の原則によって、独立できてよいはずだ。実際、過去、東トルキスタン共和国として独立を宣言したこともある。 中国共産党は「民族自決」を認めない。中国は多民族なので、そんなことを認めればバラバラになってしまうと恐れている。そこで代わりに「自治」という。「自治」とは、独立を認めないぞ、中央政府の言うことを聞きなさい、という意味である。
「民族自決」を腕づくで押さえつける
新疆ウイグルのほか、チベット、内モンゴルが、同様に「民族自決」を求めて独立に動きそうな、要注意の人びとだ。 モンゴルは地理的に、北モンゴルと南モンゴルに分かれている。モンゴル人が遊牧していた。 ソ連が成立すると、北モンゴルは独立し、世界で二番目の社会主義国になった。南モンゴルも独立しようと、日本の援助を受けて戦った。日本が敗けると、内モンゴルとして中国の一部に編入された。モンゴル人に相談なしの、頭越しの決定だ。日本とつながりのあったモンゴル人は粛清された。 ウラーンフーという指導者がいた。ソ連で学んだ、モンゴル人の中国共産党員だ。民族問題に詳しい。モンゴル民族の自立を守ろうと党中央に働きかけた。毛沢東と対立して失脚した。漢民族が大勢やってきて、農業をはじめた。自然が破壊され、遊牧ができなくなった。文化大革命のとき、モンゴル人の虐殺も起きた。こうした事情は楊海英『内モンゴル紛争』(ちくま新書)に詳しい。 チベットも武力で、中国の支配に屈した。 指導者ダライ・ラマはインドに亡命した。「民族自決」を腕づくで押さえつけている点は、内モンゴルと同じである。
中国共産党が新疆ウイグルを手放したくないワケ
ウイグル人は、トルコ系の人びとである。オアシスの集落に暮らし、イスラム教を信じる人びとだ。見た目も、言語も、風俗習慣も、漢民族とはまったく異なる。 20年ほど前、敦煌、トルファンからウルムチのあたりを旅行した。中国というより、中央アジアの一部である。古くからのカレーズ(地下水路)が流れ、ブドウを栽培している。のどかで平和な日常が広がっている。 ウルムチは100万人の工業都市。漢民族が増えつつあり,町は不穏な空気だ。漢人のガイドは言う、町に出たらウイグル人に注意しなさい。ウイグル人は言う、漢人に気をつけなさい。 新疆ウイグルは中ソ対立の前線だった。冷戦末期に、イスラム系共和国がつぎつぎ独立し、ソ連が崩壊したのを、中国の指導部は深刻に受け止めた。 新疆ウイグルは、地下資源がある。面積が大きく、中央アジアのカナメである。外国に何と言われようと、譲ることのできない中国の国益を、「核心利益」(核心的利益)という。 新疆ウイグルは、中国の核心的利益にほかならない。 新疆ウイグルは、歴史的に、ウイグル人の土地でした。そのウイグル人が、喜んで「中国公民」になりました。だから新疆ウイグルは、中国の一部です。もうウイグル人は、民族ではありません。中華民族の一部、ウイグル族です。ですから今後決して「民族自決」で独立したりする余地はありません。どうぞよろしく――なのである。 簡単に言おう。 中国共産党と政府は、新疆ウイグルを手放したくない。そのため、ウイグル人は、ウイグル人でなくなってください、なのである。だから、言語を奪う。知識人や指導的な人びとを拘束する。民族の誇りを奪う。歴史や文化を奪う。イスラムの信仰を奪う。中央アジアのトルコ系同胞との交流を奪う。必要なら拷問や虐殺も辞さない。 内モンゴルでも、チベットでも、繰り返してきたやり方だ。 こんなやり方は、国際社会のルールに反している。ウイグルの人びとの人権を踏みにじっている。目に余る。新疆ウイグルの状況をつぶさに知るにつれ、国際社会に当惑と憤りが広がる。
中国の異常さ
中国共産党と政府は、こうした国際社会の拒否反応もある程度織り込みながら、いや、そんなものは大したことないと軽くみながら、新疆ウルグルという「核心的利益」を追求しているのだ。 その判断が恐ろしい。「核心的利益」のためなら、ウイグル人の少なからぬ人びとの人命が犠牲になってもかまわない、という選択が恐ろしい。ウイグル民族を、地上から消し去ってもかまわない、という冷酷さが恐ろしい。 これは、のるかそるかの革命ではない。国家の経営(ナショナリズム)の問題だ。のるかそるかの革命なら、革命家は命を賭けている。やむをえず、暴力に訴える。いま中国共産党は、すっかり体制の中心に収まり、のうのうと日を送りながら、貧しく力のない人びとの、大切な権利と誇りを踏みにじっている。 革命をやめた中国共産党は、ただの政治党派、いや利益集団である。習近平をトッブにするこの政党の、傲慢で鈍感で残酷な統治のやり方に、世界はおののいている。 中国共産党を何とかしよう。この声が、国際社会に共通の「核心的利益」になる日が近づいている。
橋爪 大三郎(社会学者)