お久し振りです。
8ヶ月???
本当にすみんませんです、はい。
色々ありまして。
ようやく再開です。
1年かけるつもりはなかったのですけども。
ナツは時間が多少取れそうなので、サクサク更新させていきたいです。
何だか誰が主人公なのか不明になってきましたが
飛鳥が主人公…
多分(オイ)
隆弘と候二がでしゃばりすぎて
作者も困ってます(とくに佐藤・・・)
でも、まあこれからストーリーも佳境にはいっていきますので
見守ってやってください。
「クラスも委員会も同じですから。今度の学コンの伴奏もしてもらうんです」
候二が答える。隆弘は二人のやり取りを横目で見ているだけだ。候二の楽しそうな表情が少々気になる。
「これから寮で練習ですよ。三高先輩も学コン出るんですよね?飛鳥先輩も」
「あぁ」
「管楽器だから同じ部門ですよね。厳しいなぁ……」
候二は眉をしかめて、大きく溜息をついた。自分の技術に自信がないわけではないが、葉助が競争相手となると、正直かなり苦しい。
「でも、負けませんよ。飛鳥先輩にも、三高先輩にも」
にっこり笑って、そう言った。まるで宣戦布告のように。
「木管と金管が同じ部門だってのがそもそも間違いなんだよ。順位なんて意味ない」
「そうなんですけどね。でも俺は順位にこだわっちゃうかな。去年は三高先輩入賞してますもんね。凄いな」
「音楽なんて、本来順位をつけるもんじゃないんだけどな」
葉助と候二の会話を、隆弘は黙って聞いていた。何かとても親しげなのが気になる。もともと候二は誰にでも愛想が良いほうだが、この「三高先輩」には特に懐いているように感じるのは、気のせいだろうか。
「でもきっと今年の管楽器部門の優勝は三高先輩ですよ」
「それはまだ分からないだろう。今年の1年にもどんな奴がいるか分からないし、昨年出てない2年のやつらもいるからな」
「確かに油断は出来ませんけどね。俺も入賞狙ってるし」
挑戦的な口調と目線を、一つ年上のトランペット吹きは軽く受け流した。何故か関係のない同級生の心拍数が上がる。
「今回の最大の壁は三高先輩だと思ってるんですけど?」
「そりゃ光栄だな。一応飛鳥も出るんだが、眼中にないのか?」
「勿論、橘先輩も強敵ですけど個人的に三高先輩には負けたくないんですよね」
「え?」
思わず隆弘が声を上げた。「個人的に」の意味は?
「何だそれ?フルートとトランペットで何でライバル認定されてんだ?」
「楽器の問題じゃありませんよ。あくまでも三高先輩に対しての対抗心です」
候二は相変わらず笑顔だが、さっきまでの穏やかな雰囲気ではなく、何やら不穏な空気をかもし出している。挑戦的で好戦的。普段の候二らしからぬ様子に、隆弘は内心戸惑った。何故ここまで対抗心を抱くのか。ポーカーフェイスの下で波紋が広がる。それはもしや、好意の裏返し?
「よくわかんねぇなぁ……」
葉助はぽりぽりと頭を掻いた。
そうこうしている間に、昇降口まで来ていた。飛鳥はまだ追いついてくる気配はない。
「じゃあ、俺たち練習あるんで先に行きますね。三高先輩は橘先輩を待つんでしょ?」
「あぁ」
1年の下駄箱の前で、候二は一旦足を止めた。
「佐藤、俺ちょっと三高先輩に話があるから待ってて」
「あ?あぁ……」
ちょっと話って何だよ?
口にも表情にも出さず、返事だけした。
候二は隆弘を残し、2年生の下駄箱がある方へ向かい葉助に小声で話しかけた。
「三高先輩、勝負をしませんか?」
「勝負?」
不意に声をかけられ振り返った葉助は、後輩が思ったより近くにいたことに驚いた。間近で見ると、本当に可愛い顔をしている。大きな瞳が、挑戦的に見上げてくる。
「はい。今度の学コンで、どっちが上の順位になるか」
「さっきからやけにこだわるなぁ」
葉助には候二が自分にこだわる理由が分からない。全く以って身に覚えがない。専攻楽器も部活も委員会も学年も違う自分との接点は殆どないはずだ。そもそも、つい最近飛鳥に紹介されるまで候二の存在すら認識していなかったのだから。
「……ん?」
接点は飛鳥。ということは飛鳥が関係しているのだろうか?
「もし俺が勝ったら……」
候二は小悪魔的な微笑を浮かべたまま言葉を続けようとしたが、背後から聞こえた足音を耳にして口を閉ざした。
「お待たせ~。あれ?櫻井も一緒?」
廊下の向こうから、飛鳥が小走りにやってきた。
「お疲れ様です。さっき生徒会の仕事が終わってこれから寮で練習なんです」
候二は何事もなかったように振り返って、飛鳥に答えた。
「練習?」
「はい。学コンの伴奏を佐藤に頼んだんで、寮の部屋で練習させてもらうんです」
「なるほどね~。あ、楽器ありがとう」
二人の傍まで歩いてきて、葉助から自分の楽器ケースを受け取る。
「じゃあ、佐藤が待ってるんで先に行きますね。さよなら」
丁寧に頭を下げて、二人の脇を通り過ぎる。その時……。
「続きはまた今度」
「!」
ぽつりと、葉助にだけ聞こえるように囁いた。
葉助は、その後姿を黙って見送った。飛鳥が来なければ、何を言うつもりだったのか……。答えはほぼ見えている。
「櫻井と、何を話してたの?」
「……学コンのこと……」
「あぁ。櫻井も出るんだもんね。1年の中では有望だって話だよ」
二人は靴を履き替え、校門へと向かう。寮と校門とでは方向が違うので、候二と隆弘の姿は見えない。
「でも、櫻井ってフルート似合うよな。男子であれだけフルートが似合う奴もそうそういないよ」
「……吹いてるところ見たことないけど、想像はつくな」
可憐なイメージのあるフルートは、実は結構肺活量を必要とする楽器であるが、どうしても線の細い女性が吹いている方が見た目的には絵になるので、男性奏者は多くはない。実際に大柄な男性が演奏しているより、可憐な女性の方がステージでは好まれるだろう。演奏技術ではなくイメージの問題だ。
しかし、候二ならばその問題もなさそうだと思った。あの容貌で正装をしてフルートを演奏する姿は、さぞ華やかだろう。いっそ女装しても良いのではないかとさえ思える。
「見た目だけじゃなく、ちゃんと実力も伴ってるよ。一回練習してるの聴いたことある」
「へぇ~」
入賞を狙っているとの台詞は、根拠のないものではないようだ。
「ってことは、学コンでは強力なライバルってことか」
「そうだね。うかうかしてらんないや」
葉助は飛鳥にバレないようにため息をついた。
候二は明らかに葉助に対してライバル心を持っている。それは多分、この幼馴染が関係している。本人は全く気付いていないだろうが。何も知らずに、自分を振り回している眼鏡の少年の頭をぽんと叩いた。
「え、何?」
「別に。なんとなく」
「……?」
(可愛い顔して……)
さっきの候二の挑戦的な表情を思い出した。
(それにしても、何で気が付いたんだ?ほとんど会ったこともないのに)
葉助に勝負を仕掛けてきたということは、葉助の気持ちに気が付いているということだ。誰にも知られていないと思っていたのに。
(同じ……だからか……)
同じ気持ちを抱くからこそ、気が付いたのだろうか。思いの矛先である飛鳥は全く気が付く気配もないのに。
気が付いて欲しいわけではないが、全く鈍感なのも、それはそれで腹が立つ。
きょとんとした飛鳥を軽く睨んで、帰り道を先へ進んだ。
はい。新キャラ登場ですね。
って言ってもこの楽章では脇キャラですが。
井上会長もこの中井君も、他の楽章の主要キャラではあるんですけども。
どっちの話もプロット程度でまだまだ先の発表になるかと思いますが…。
次回のキャラ紹介でプロフと画像アップしますね(あと、優理子お姉ちゃん)
あぁ、もう1人出さなきゃいけないキャラがいるんだけども……あと数話先になりそうです。
思いのほか佐藤がでしゃばってるので。
そして今回なんだか妙なところで終わってますが
時間と文字数制限のせいです。
連載ってことを考えてないので……すんません。
次回はトップ画像をちゃんと東都仕様に変えたいと思います(現在作画中)
ではまた。