夏休みも始まり、これから1ヶ月どう過ごすかと学生は思想をめぐらせる。
7月末日。
今日は、町を挙げての夏祭り。
いつもはあまり人のいない商店街も、この日だけはどこから人が沸いてきたのかというく
らい賑わいを見せる。
出店や、近所の学生、団体などの発表、フリーマーケットなどの沢山の催しものがある。
その中でも一番の目玉は、なんといっても河川敷での花火大会だろう。
この花火大会はいわく付きらしい。それに毎年見渡す限り人、人、人、だとか。
コレだけ人がいれば、不思議な出会いもあるわけで・・・。
時は夕暮れ、電気もつけていない薄暗い部屋に朱色の西日が差し込んでいる。
本を読んでいる俺にとって目に悪いことは重々承知だが、電気をつけるという動作が面倒
くさいわけで。
パン・・・パン、パンッ。
唐突に三段雷が鳴った。今日の祭りも佳境に差し掛かっているということだろう。あと
2.3時間もすれば花火の打ち上げが始まるなぁと思い。
「そろそろ時間か」
そう言って、今まで読んでいた本を置き立ち上がる。そして、携帯と財布だけを持ち、盛
り上がりが頂点に達しているだろうと思われる祭りに繰り出すことにした。
タイムリミットは、花火が上がるまで。
まぁ、といってもあと2.3時間はあるから夕飯
の調達がてら散策と行こうか。
やはり、祭りの中心部である商店街に来ると住宅街の比べ物にならに程の五月蝿さだっ
た。
日頃からこれほど賑やかならば町の行く末は心配ないんだろうなと勝手な感想を抱きなが
ら歩く。
たこ焼きか、焼きそばか、それともお好み焼きか、あぁ後で何食べようカキ氷?
わたあめ?などと違う方にも意識を飛ばしながら、迷いに迷った末俺が出した答えは、
「おじさん。たこ焼き一つ!」
結局は、折角外で食べるのだから家で作れないものにしようということでたこ焼きにし
た。
でもたこ焼き器さえあれば家でも作れるが、生憎家には無い。ただそれだけの理由。
しかし、優柔不断な俺にとって祭りの出店はある意味地獄だ。
だっていろんな種類のものが所狭しと並んでいるんだから。
「まいどっ、はいたこ焼き一つ。あれ?兄ちゃん一人?カッコいいのにもったいない!」
「ありがとうございます。俺カッコよくないですよ?それにこの後予約入っていますし」
「おっそうかい彼女?」
「まさか友達ですよ友達」
「あらぁ~残念じゃあその友達にもたこ焼き買うならココが良いよって言っておいて?」
「友達で悪かったですね。分かりました。言っておきますよ。ありがとうございました」
まぁしかしながらこれから会うやつを『友達』と呼べるかどうかはよくわからないところ
だが、そのことについてはまだ触れないでおこう。