蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる――。
「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、碧は見知らぬ女の人から小さな蜂蜜の瓶をもらった。それから十六年、三十歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに...
碧が養蜂の手伝いをするのをきっかけに色々な人達と関わり、徐々に自分の居場所を作っていく様子に静かな感動を覚える
黒江の不器用な優しさに切なくなる
碧は自分に蜂蜜をあげた女性と再会をするが。
女性が意図せずとも、彼女が碧にかけた言葉は碧の救いとなった。
何気ない言葉が誰かの救いになる事もあるのだなと感じた
宮下奈都さんの解説がまた素晴らしく
「そうそう、こういう事思った」というようなエッセンスがぎっしり詰まっている
本著も名言が多く、どれも響きまくる
文庫本の帯のキャッチフレーズにも
あったが
どこでも、何度でも、人はやり直せるし、変わっていける。
そう思える一冊だと大いに共感する
~心に残った言葉~
「食べものが身体をつくるのはあたりまえだけど、それだけじゃなくて。誰かと一緒にごはん食べて楽しかったとかおいしかったとか、そういう記憶ってずっと残るから、食べてもなくならないよ。記憶が残るなら、それはごはんも残ってるってことだよ」
「運が良かったんじゃないよ。その人たちと会えたのは偶然かもしれないけど、会えただけで終わらせなかったのは、それは碧が」
「碧が、行動したからだよ。碧の良いところがその人たちに伝わったからだよ。全部、あんたが自分の手で勝ち取ったもんだよ」
あの時麻子さんが言ったことが、ぜんぶその場の思いつきだったりしても、噓だったとしても、わたしをここに導いてくれたことに変わりありませんから。わたしを導いてくれた人が聖人君子のような人でなくたって、もらった言葉の価値は変わりません」
「俺たちは、生きなきゃならない。そして、生きてる限り、環境は変化していく」
だから順応していくしかないなと思ったんだよ。