52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚(きこ)と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。
孤独ゆえに愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、魂の物語が生まれる。
映画化され、見るにあたり再読。
だいぶ前に読んだと言うのもあり、登場人物やエピソードを結構忘れてて。
こんなだったかと改めて感じた。
昔のキコやムシが置かれた境遇が過酷で胸が痛くなる。
母親からヒドい目に合わされて、あきらめながらも、それでもなお、母の愛を期待するキコが切ない
キコを救い出したアンさんと、これから楽しく幸せな人生を送ると思ってたのに、運命はムゴい…
かつてキコがアンさんに救われたように、ムシもキコによって救われた。
最後のムシの「強くなる」
最初の頃に比べ、ずいぶん強くなったな、人はこんなに変わるんだとジーンとくる(*´艸`*)
2人には、これからもまだまだ大変な事が待ち受けてるかもしれないけど、きっと大丈夫と思えるラスト。
文庫特典のカバー裏にあるスペシャルショートストーリー「ケンタの憂い」もクスッと笑えてホッコリする
どんなに出しても届かないと諦めかけてた52ヘルツの声。
キコもムシも、その声を聴き受け止める存在と出会う事ができた。
心揺さぶられ、深い感動を覚える、出会ってよかったと思える作品だった
〜心に残った言葉〜
『寂しさを知る人間は、寂しさを知ってるからこそ、失うことに怯えるものだから』