料理上手なネコシェフの店にたどり着くのは「現実から逃げ出したい」と切実に願う人ばかり。シェフの腕をふるった美味しい料理にほぐれた心の中にある本音に向き合った時、小さな一歩を踏み出せる…



「喫茶ドードー」シリーズの標野さんが贈る連作短編集。

標野さんらしく、どれも優しくもホッとする話照れ

饒舌で物知り、ちょっぴりぶっきらぼうなネコシェフの言葉にはハッとさせられ、柔らかく沁みわたる。

頭の中でグルグルと色々考えがちだけど、答えは自分の中にあり、ふとした直感をもっと信じていいのかもと思えてくる。

ままならないまま生きていくものだけど、かすかな希望を感じられるものに触れられたらいいなと思うニコニコ



〜心に残った言葉〜


つまらない経験ばかりを重ねてきた。けれどもきっとそれは無駄ではないひとつの成長だった。そうでありたい。そう思えれば、この先の変化すら楽しめるかもしれない。


「そうやってあちこちに種を蒔いておくことで、いつか芽が出て結果に繋がるんだ。焦るこたあねえよ」


「目の前のひとつひとつを大切にしていけば、結果として、誰かを救ったり自分も思いがけない道を見出(みいだ)せたりするんじゃないのか?」


「理詰めで塗り固めて論じるよりも、感じるままのほうが、時にはいいこともあるもんだよ」


世の中は一向に変わらない。雛菊を取り巻く環境も思うままにはならない。けれども他人の言動を非難したところでそれは同じことだ。ならば自分の心持ちを変えればいい。


迷ったとき、悩んだとき、答えはちゃんとあなたの中にあるはずです。