鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込む。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。
実際に古くから右筆(ゆうひつ)と呼ばれ、代書をする職業があるというのを知り、へえーとなった
依頼の内容により、手紙の用紙や筆記用具、時には切手を都度変えていく細かな配慮に、こちらもへえーとなる
文具好きとしては、そういった文具の説明を見るだけでも楽しい
言葉遣いや言い回しにも色々あるんだなと知れて、「なるほどー」の連続
主人公の鳩子以外の脇役達も、それぞれキャラが立ってて魅力的な人物達
鳩子のデートの場面はホッコリする
わだかまりを持っていた祖母の本当の思いに気付いた鳩子が、祖母宛てに書いた手紙がジーンと沁みる(´艸`*)
手紙っていいなと改めて感じさせられる
~心に残った言葉~
「心の中で、キラキラ、って言うの。目を閉じて、キラキラ、キラキラ、ってそれだけでいいの。そうするとね、心に暗闇にどんどん星が増えて、きれいな星空が広がるの」
「これをやるとね、辛(つら)いこととか、悲しいこととかも、全部きれいな星空に紛れちゃうの」
「後悔しないなんて、ありえないんです。ああしてあげればよかった、あの時あんなことを言わなければよかった、ってね。」
「失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを大事にすればいいいんだって」
手足を縛られがんじがらめになっていた言葉たちが、解き放たれようとしている。
彼が、凍りついていた私の言葉に、温かな息を吹きかけてくれたのだ。