13歳年上の妻が妊娠しました -2ページ目

我が母

 母親から、「絵本送ろうか」とメールが朝来たのを忘れて仕事に出かけたら夜に電話がかかってきた。母と彼女は、一度だけ会っている。僕と彼女が同棲することになり、それなら挨拶に行くと両親が揃って上京したときのことだ。

 僕と彼女の仕事は休みが不定期で、お互いの都合のいい日に、両親に来るように頼んでいた。彼女の妊娠が確定したのは、両親が来るちょうど前日だった。ちょうど良いからと、発対面をさせた日に妊娠したことも告げたのだけれど、両親は全く驚かなかった。こちらとしてはかなり拍子抜けしたのだけれど、両親としては、そういうことがあるかもしれないと思っていたのかもしれない。

 でも母親は、素直に喜んではいなかったと思う。何故ならそのとき、一度も彼女の顔を見て話さなかったから。僕はそれに気付いて憤慨もしたし、母の気持ちがわかるような気もした。それきり、母と突っ込んだ話をしていなくて、今日久しぶりに、およそひと月振りに話をしたのだ。

 母は穏やかな声で、男の子か女の子かと訊き、楽しみだと言った。僕はその声を聞いてほっとしたのです。母も喜んでくれているのかと。

 そんな一日でした。

 

高野豆腐と焼きそば

 さっき仕事から帰ってきました。彼女の悪阻は油の匂いがとても駄目らしいのに、今日は焼きそばを作って待っていてくれて、嬉しいけど申しわけない。あんまり無理せずに、もう少しの悪阻を乗り切ってもらいたい。

 焼きそば以外に、高野豆腐もありました。高野豆腐を子どもの頃好きだったといったのを彼女が覚えていてくれたみたいで、作ってくれたのです。味は、、、正直に言えば、子供の頃食べた物の方が美味い。でも、飯を作ってくれているというのはほんとありがたいし、ほっとするのです。

飲み屋にて

 一番気の置けない友人が一年前に、すぐ近所に引っ越してきました。僕はその後引っ越したんですが、前のアパートからほど近いマンションに引っ越したので、今でも友人はご近所さんな訳です。

 彼女が、たまにはその友人と飲んで来たらというので、お言葉に甘えて昨日飲みに行きました。近況報告をしつつ、同棲生活の愚痴も少し聞いてもらいながらあらためて思ったのは、きっと彼女の方が不安なのだろうなということ。四十過ぎて子供産むのだし、相手は十以上も年下で、そこそこ収入があるにしても満足ではない。でも、一緒にやっていこうと決めて、、、やっぱり不安は多いはずなのです。それでも僕に気を使い、それなのに僕から不満をもらされ、そりゃあ気が強い人でも泣いちゃうわなあと。少し、反省です。

 友人と飲んだお店は五、六年前に彼女と何度か足を運んだお店。たしか、一度模様替えをした記憶があり、でもそれ以来僕は行ったことがなかったのですが、どうも肴がまずくなっている。店員のお姉さんは綺麗だったけれど、もう行かないかもなあと思いました。ちょっとした思い出のお店の料理の味が落ちているというのは、あんまり嬉しくないっすね。

公園

 外が騒がしいのでベランダから覗くと、交通安全の啓蒙運動なのでしょう、小学生の鼓笛隊と駒澤大学のブラスバンドが通り過ぎるところでした。都知事選挙に行くかと彼女に訊くと、誰に投票して良いかわからないので行かないとのこと。もう半ば以上は青葉に変わった桜並木の下を通って、投票所に行ってきました。途中にそこそこ大きな公園があり、帰りによってみると、弁当を広げているカップルがいたり、ニン○ンドー○Sで遊ぶ子どもがいたり。もちろん幼児連れの人も多く、滑り台やブランコのある遊戯スペースの端には、ベビーカーがずらりと並んでいました。

 これから一年~二年もして、まだ今の部屋に住んでいるなら、きっとその公園に通うのでしょう。歳の差の夫婦のどっちが子供を連れて行くのだろう?どっちにしても、公園デビューってのはやっぱ緊張しそうだなあと思いました。

 まあまだ先の話です。彼女は昼寝しています。

喧嘩

 引っ越してから初めて彼女と喧嘩をしました。とは言っても怒鳴りあいとか殴り合いではなく、彼女に対して少し僕がいらっとしてしまい、冷静になってから、イラついた原因について話し合っているうちに彼女が泣き出してしまったのです。もともと、八年間付き合ってきた中で、本気の喧嘩をしたことは一度もありません。何かあれば話し合うか、もしくは僕が彼女から逃げて自分のアパートに帰っていたので喧嘩にならなかったのです。でも一緒に住み出したらそうは行かない。逃げ場もなく、面と向かうしかないので話し合っていたらそういうことになり、、、。

 年上の女性が本気で泣くところを見るのはけっこう辛いです。

 もちろん僕の方にも言いたいことはありました。けれど、今日仕事場で喧嘩のことを話すと言われました。「それはお前が悪い」と。妊婦に対しては、なにごとも男の方が受け止めてやらなければ駄目だと、その人は言いました。

 そうは思っているのですが・・・。たまに、それが難しくなります。

 けれど僕たちは夫婦になるのだから、こういうことを一つ一つ乗り越えていこうと思ったのでした。

初めまして

 20代の間ずっと住んでいた家の4度目の更新がこの三月に迫っていて、これを機会に8年近く付き合った彼女と、同居しようと決めました。二人で家賃を折半にしようと決め、年が明けてから家探しを始めたところ、2月の初めに予算ぎりぎりにおさまるちょうどいいマンションを発見。無事に契約を済ませ、仕事の合い間を縫って無事に引っ越しを終えたと思ったら、、、彼女の妊娠が発覚。ジャガー横田ほどではないけれど、かなりの高齢出産です。それだけでも不安なのに、彼女は仕事を休業して、僕の出費は一気に倍額。はたして上手くいくのだろうか???