story 87 奢ってあげるよ
楓(な、何!?)
(人がせっかく拾ってあげたのに・・・)
楓「何やってんの!?」
「せっかく見つけたのに!!」
愛「あーすっきりした!!」
「これでよしっと!!」
「これでよしって・・・」
「大切な指輪じゃなかったの!?」
「大切な指輪だったよ。」
「でも、もう昔の話。」
「自分で海に投げる前に失くしちゃったらバカでしょ。」
「えへっ。」
楓(か、可愛い・・・)
(葵に似てるけど性格は正反対だなぁ~)
(でも案外こういう性格好きだったりして・・・)
「あ~何だか目的を果たしたらお腹すいちゃった。」
「目的って指輪を捨てる事!?」
「うん。」
「この指輪ここで貰ったんだ。」
「あんなに好き、好きって言ってたのに!!」
「あの最低男ったら浮気してやんの!!」
「浮気だよ。」
「もう信じられないって感じ!!」
「あんな男こっちから願い下げ!!」
「ふ~ん。」
「じゃー指輪を捨てる為にわざわざ来たの!?」
「そうだよ。」
「悪い!?」
「いや、別に・・・」
「あーそうそう!!」
「お腹空いてるんだよね。」
「俺、海の家やってるから何か食べてったら。」
「奢ってあげるよ。」
「それってナンパしてるの!?」
「な、なん・・・」
「まさかうまい事言って、どこか連れて行くんじゃないでしょうね。」
「バカ!!」
「そんな事するわけ無いやろ!!」
楓(な、なんだこの女・・・)
(ちょっと可愛いと思って!!)
「嫌なら別にいいよ。」
「俺バイトあるから戻るわ。」
「じゃ!!」
「嘘。嘘。」
「ゴメン。」
「本当は旅費でもう殆んどお金ないんだ。」
「何か食べさせてよ。」
「ねっ!!」
「しょーがねーなー」
「やった~!!」
「ありがとう。」
「ところで君なんて名前!?」
「俺、楓。」
「愛。」
「よろしくね。楓。」
楓(いきなり呼び捨てかよ・・・)
(なんか調子狂うな・・・)
(でもホント葵に似てる。)
楓と愛は海の家へと辿り着く。
楓(拓也のヤツまだ来てねーな。)
楓「何が食べたい!?」
愛「ラーメン!!」
ドキ!!
楓(ラーメン・・・)
(ラーメンには良い思い出ねーなー。)
楓「ら、ラーメンなんてねーよ。」
「このくそ暑いのにラーメンなんか置いてるか!!」
「えー!!」
「じゃーやきそばでいいよ。」
「じゃ、じゃーって・・・」
「おごって貰うくせに・・・」
透が楓に近づいてくる。
透「よっ!!」
「可愛い子連れて何やってんだ!?」
「お前も隅におけねーな!!」
楓「そ、そんなんじゃないっすよ。」
「ところで拓也のヤツ来ました!?」
「俺が聞きたいぐらい!!」
「何やってんだアイツ!!」
「楓といい拓也といい・・・」
「お前ら仕事する気あんのか!?」
「俺はあるっすよ!!」
「飯食べたらちゃんと働きますから!!」
「頼むぞ!!」
「は~い。」
「って言う事で、やきそば下さい。」
「ったく!!」
「給料から引いとくからな!!」
「そ、そんな・・・」
楓と愛は昼食をとる
愛「楓は何歳!?」
「あー俺16。」
「なーんだ。年下じゃん!!」
「私の方が一つ上だからお姉さんって呼ぶように!!」
「だ、誰が呼ぶか!!」
その頃
拓也が戻ってくる・・・