「沈まぬ太陽」、社内報で批判=客離れ誘発に危機感-日航




日航にとっては経営再建真っ最中だから敏感になるのも分かるが、


これはひとつの映画である。




それに物語は「恩地元」という巨大組織に向かっていった一人の男の人間ドラマであることに変わりはない。




「法的手段も辞さない」との強硬姿勢らしいが、


そんなことだから客離れが起きるんだよね。




この小説が連載されたとき、日航は「週刊新潮」の機内でのサービスをとめた。



このときから日航は「沈まぬ太陽」、ひいては作者の「山崎豊子」さんに対して敵対心むき出しだった。





それはこの小説が「事実」であることを


世間に知らしめていることに他ならない。




現に「労働組合」は現在8つもあるという。


当時から労組の関係はかなり歪んでいたのだろう。




その名残と言っちゃ何だが、今でも企業年金でももめているのはその一端である。




全日空の9万に対して、日航の年金は25万である。


金額だけで一概に比較できない部分もあるだろうが、


同じように飛行機飛ばしている会社でこんなに違うことに、世間の驚きは隠せない。





「沈まぬ太陽」はじめ、山崎さんの小説は企業のあり方を問う作品が多い。




「不毛地帯」や「華麗なる一族」、そして最新作の「運命の人」もそうである。



「大地の子」にしても、中国残留孤児の話であるが、これも企業での問題を取り上げている。



山崎さんの小説でいろいろな部分に気付かされた。






すべてそれが正しいとは思わないが、視野が広がったことは事実だ。







御巣鷹山の墜落事故にしたって、紛れもなく「人災」なのである。


これに焦点を当てたドラマは「沈まぬ太陽」だけはない。





そしてこの大惨事は風化させてはいけない事実でもあるのだ。





すべて「過去」のこととして葬り去りたいのが日航の思惑か。





日航がこれに敏感に反応すればするほど、


世間は「沈まぬ太陽」に対して興味がわくだろう。




そして真実はどこにあるのかを知りたくなる人がもっと出てくるかもしれない。





国民の税金を投入してもまったく再建の目処が立たない会社が、


ひとつの映画に異常なほど反応するのはいかがなものか。





そんなことに神経を使うのなら、


われわれ国民の税金をこれ以上無駄にしないような経営体制を作り上げることに、


総力を挙げて取り組むべきだな。