宮崎駿監督の「となりのトトロ」にこんな情景がある。
お父さんを待って、眠ってしまったメイを負ぶった五月。
そのとなりにトトロがやってくる。
頭には葉っぱを乗せている。 雨よけのつもりなのだろう。
合羽を着ている五月は、傘をトトロに貸してあげる。
その傘に大きな木の葉から雫が傘に落ちる。
その音に初めは驚いたトトロが、次第に音に興味を持ち楽しみ始める。
仕舞いには、飛び上がって、大雨のような雫が落ちてくる。
トトロは大喜びだ。
そしてそれが合図のように猫バスがやってくる。
「音の出る傘」を持って、トトロは行ってしまった・・。
関東が梅雨入りした。例年より6日早く、昨年より20日早い。
これから50日ほどこんな天気が続く。
雨がなければ生きていけないが、梅雨の時期はどうしても憂鬱になる。
しかし、こればかりは人間の思い通りには行かない。
四季の豊かな日本ならではの自然現象だから。
こんな雨がこれから続くのなら、思い切って楽しんでみるほうがいいように思う。
新聞のコラムを思い出す。
雨ばかりで、娘の登校を思いやる母。
「毎日、大変だね」と声をかける。
「え?なんで?」
「だって、荷物もあるし、靴は濡れるし・・」
「結構楽しいよ。傘にあたる雨の音が毎日違うんだよ。
その音を楽しんでいるから大丈夫。行ってきま~す!」
その母は、娘の心の豊かさに強い感動を覚えたそうだ。
トトロと同じように、純粋に雨音を楽しむ心の豊かさ持っている娘さん。
日常の天候に気持ちが左右されてしまう自分の貧しさを反省したものだ。
何事も本人の受け入れ方で、それを楽しくもつまらなくもする。
すべてを楽しむ事は出来ないかもしれないが、
心のあり方でどうにでもなる事はたくさんある。
「あるがまま」をそのまま受け入れる。
私は北の大地に出向いた時、大自然の「あるがまま」を受け入れることが出来た。
圧倒的な大自然。
人間がその一部に過ぎないと実感すると、「あるがまま」に受け入れられる。
今年の梅雨は、悲観的になることがないように感じます。