私が今一番好きな番組が「その時歴史が動いた」である。
従業員のインサイダー取引や、勤務時間中の株取引など危機感のまったくない会社ではあるが、
この番組だけは奥深く1人の人物を取り上げ、日本の基礎を築いた偉人たちの功績を伝えている。
松平定知アナウンサーの語りも素晴らしい。
先週は「奥州藤原氏」、今週は養殖真珠を世の女性に身につけさせたいと奮闘した「御木本幸吉」氏。
そして来週は、私が尊敬して止まない「後藤新平」氏が放送される。
氏のことは本を読んでその功績と人となりを知っていただければ幸いである。
彼がいなければ郵便事業の発展もなかったし、現在の東京の道路もなかったのである。
ボーイスカウトも後藤氏が創設者である。
板垣退助を治療したのも氏である。
医者であり、政治家でも会った後藤新平氏。
氏が副総理どまりだったことは、大きな損失だった。
何故総理にならなかったのかは、本を読めば分かることである。
日本人の誇りを胸に奔走した偉人たちがいることを知るべきだろう。
便利な世の中にあって、24時間欲しいものが手に入る。
歩きながら電話も出来る。定刻どおりに電車が来る。
たった50円で全国どこへでもはがきが送れる。
渋滞を嘆きながらでも、走っている道路は整然と整備されている。
一朝一夕に出来上がったものなど何もない。
生まれたときからあるものだから「あって当たり前」だと思い込んでいる。
その便利さを享受することは何も悪いことではない。
しかし、そこまでにたどり着く基礎を築いた異人たちを知り、感謝の気持ちを持つことも大切である。
何も何かあるごとに感謝しろということではない。
便利だからこそ、ものを大事にしなければならないのだ。
そして人の気持ちを大事にしなければならないのだ。
偉人たちが私たちに遺してくれたありがたいものがたくさんある。
それを使うだけ使って、また手に入るからと大事しないことを次世代に伝えたいわけではないだろう。
この平和な時代を当たり前だと思って、人の心や動物、そして現在使っているものを蔑ろにしてはいけない。
今こうして普通にガソリンを使っているが、
これも出光左三氏が日章丸を建造してイランから原油を輸入したからこそである。
私たちは、この時代を謳歌するだけでなく、
その基礎を築いた異人たちを知り、「日本にはすごい人がいた」ことを忘れてはならない。