第36号 時給者の所定労働時間を変更したとき | 人事労務に効くクスリ

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栃木県宇都宮市の社労士事務所、メンタルサポートろうむ 代表 李怜香のブログ。
日常のあれこれを中心に、仕事のこともちょっぴり書いてます。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)には、正社員だけでなく、 パートやアルバイトの従業員も、一定の条件を満たせば、 加入させなくてはなりません。

 

当事務所の顧問先事業所様でも、最近は、時給で働いている従業員で 社会保険の被保険者になる人が増えてきました。

 

時給者の場合、月給者とは少し違う扱いがあります。

それは、随時改定(月額変更届)に該当するかどうかという部分です。

 

月額変更届を出すかどうかというのは、固定的な給与に昇給や降級などの 変更があり、給与の変更後3ヶ月間を平均して、いままでの標準報酬月額の 等級より2等級以上変動する、というのが条件でしたね。

 

では、時給で働いているパートタイマーが、いままでと同じ時給で、 一日7.5時間の所定労働時間であったのが、都合で、 6.5時間になった場合は どうでしょうか。

 

たとえば、時給 1,000円の人が月に20日間稼働したとすると、 1日7.5時間の場合は、月額給与は下記のようになります。

1,000円×7.5時間×20日=150,000円

標準報酬月額の等級は「12等級 150,000円」です。

 

そして、6.5時間に変更した場合は下記のようになります。

1,000円×6.5時間×20日=130,000円

標準報酬月額の等級は「10等級 134,000円」です。

 

12等級と10等級なので、2等級の違いがあります。

でも、固定給である時給には変更がないから、随時改定には該当しないの でしょうか?

次回の年度更新時期が来るまで、社会保険料は給与が15万円程度だったときと 同じ保険料を払い続けなければならないのでしょうか?

 

これは実は、「随時改定に該当し、月額変更届を提出する必要が ある 」のです。

 

このあたりの標準報酬の等級は、報酬額の範囲の幅が狭いので、 少しの変更でも「2等級の変動」に該当してしまいます。

 

3ヶ月後に実際に支払われた給与を確認して、以前の等級と2等級以上の 差があれば、月額変更届を提出しましょう。

 

この例では、勤務時間が減る、つまり、保険料が安くなるという例でしたが、 逆に、勤務時間が増えて、時給に変更はないが、月の支給額が増えた場合も 同じように月額変更届を提出して、保険料を高く変更しなければならない ときもあります。

 

保険料が増えるのは、事業所にしても従業員にしてもありがたくない 話ではありますが、将来の年金額に関わってくる部分なので、 しっかり手続きをしておきましょう。