現実として、薬と毒とを一緒に飲めば、毒の方が勝りその影響が身体にでることでしょう。

 

その毒が猛毒であれば顕著となり、場合によっては死に至らしめるものとなるかも知れません。

 

要するに、薬は毒を打ち消す力は持っていないのが通常ということです。

 

その一方で、法(ダルマ)を薬として用いた場合、覚り(=解脱)を生じ、人を根本的に苦しめている猛毒である三毒(貪嗔痴)を完全に解毒することができます。

 

そして、それだけでなく、この薬は三毒(貪嗔痴)は三学(戒定慧)へと転じるものであり、その人をつねに安らぎに住しめる原動力として働くことになるのです。

 

このため、法(ダルマ)こそがこの世の最高の薬とされ、妙薬とも妙法とも呼ばれることになります。

 

しかもこの妙薬は、仏道修行者が自分自身で作り出すことができるものであり、そのためにいかなる対価も要らず、もちろん何かの犠牲を捧げる必要もありません。

 

なおかつ、この妙薬を得るための道の歩みは、楽しみと栄えとに彩られており、危険もありません。

 

心の底からしあわせを得ようとする人がこの妙薬を求め、実際にこれを得て、この円かなやすらぎ(=ニルヴァーナ)へと至り住することになるのです。

 

では、どうすればこの妙薬を手に入れることができるのでしょうか?

 

それを説くのが仏教に他なりません。

 

***