クソ寒いのに、濡れ縁で一服していると、咲き誇る山茶花に小鳥が二羽、飛んできた。

 昔、ウグイスと間違えたメジロだった。飛ぶ寸前、チチッと鳴いた。

 童謡の山茶花、~焚き火だ、焚き火だ、落ち葉焚き。

 わたしが24歳まで、実家は米屋だった。昔、玄米は俵で来た。これをオヤジは天井近くまで積み上げていた。

 俵の両端の丸い藁、あれを「さんだらぼっち」と呼んでいた。

 冬、父にさんだらぼっちを何個かもらって近所の空き地で焚き火をした。真ん中に薩摩芋を入れておき、藁が燃え尽き、灰が黒くなるまで待って棒で掻き出すと、美味しい焼き芋が出来ている。二つに割ると黄色くぽっかほかの焼き芋。

 先週、息子が焼き芋を持ってきてくれた。

 だが、ほっかほかではなく、ねっとり。

 「最近の焼き芋はみんなねっとりなのよ」と妻が教えてくれた。

 でも焼き芋はほっかほかをフウフウ言いながら囓るのが良い。

 屋台の焼き芋屋の看板に書いてあった。

 「九里よりうまい十三里半」の意味が分かったのは、焼き芋屋が回ってこなくなってからだった。