年収の１３％を年金に持っていかれる!?

主婦の年金救済　公平損なわぬ仕組みを

　国民年金の切り替え手続きをしなかった専業主婦が全国で１００万人を超えると推計され、このままでは無年金・低年金に陥る可能性がある。その救済策をめぐり、４日の参院予算委員会で自民党が「不公平で年金不信を招く」と政府を追及した。

　無年金・低年金者が増えることを避けるため、救済策が必要なのはうなずける。しかし所定の保険料を払わなかった人が、きちんと払ってきた人と同額の年金を受け取れるという救済では不公平感が生じる。年金への信頼を損なわないような救済の仕組みが必要だ。

　会社員や公務員の妻である専業主婦は「第３号被保険者」として、自分で保険料を払わなくても基礎年金を受け取ることができる。しかし夫が自営業に転職、あるいは退職した場合、妻は３号の資格を失い「第１号被保険者」への変更届が必要となる。妻の収入が年間１３０万円以上になった場合、夫の死亡、離婚などの場合も同様。第１号は月約１万５千円の保険料を納付しなくてはならない。

　変更手続きは本人が行うのが原則。しかし制度は複雑で、万人が理解できるとは思えない。変更が必要なケースで、自分が３号のままだと思い込んで手続きしない人もいるという。

　保険料が未納となった期間があれば、その分もらえる年金は減額される。そればかりか最低加入期間（２５年間）に満たない場合、年金は受け取れない。

　そうした人々を救済する目的で厚生労働省は、未納期間を受給額に反映させない特例措置を決め、今年１月に導入した。加入者に直近２年分の保険料納付を求め、残りの無届け期間は納付済みとみなす救済策だ。

　しかしこれでは、きちんと保険料を払ってきた人には不満だろう。さらに昨年までに手続きし、未納期間を救済されなかった人と著しい不公平が生じる。総務省の年金業務監視委員会が調査に着手。これを受け厚労省は手続きを停止した。

　救済策を国会審議が必要な法改正ではなく、課長通知で済ませた点も理解に苦しむ。野党が批判を強めるのは当然だ。

　受け取る年金がきちんと支払ってきた人と同額になるというのは適当か。現行では後納できる未払い保険料は２年分までとされているが、支払える期間を延長することはできないか。公平性を確保することも含めて国会の場で早急に検討すべきだ。

　野党はこの問題を政権を揺さぶる攻撃材料にしたいようだ。しかしここは国民の利益を第一に、与野党が知恵を絞り公平な救済を図ることを優先したい。

　現在のように本人の申請に頼っている限り、手続き漏れは避けられない。検討されている税と社会保障の共通番号のような制度によって防ぐことができるのではないか。社会保障全体の再構築が求められている。年金制度を根本から立て直すための議論をこそ重ねてほしい。

(秋田のニュース）

日本では、専業主婦はかなり優遇されています。

年収が１３０万円未満であれば、第三号被保険者ということで年金を支払わなくても年金が受け取れる。

しかし、ワーキングプアやニート、フリーターの独身は、１３０万円未満の収入でも月額１５２２０円支払わなければなりません。