

ロンドン・パラリンピック代表 県勢は水泳・河合ら
(2012/7/ 4 08:50) ロンドン・パラリンピック(8月29日~9月9日)に出場する日本代表選手団が3日、発表され、県勢は11人が名を連ねた。
陸上は2008年北京大会男子走り幅跳び銀メダリストの山本篤(スズキ浜松AC)が頂点を狙う。短距離の春田純(静岡市清水区)、佐藤圭太(中京大、藤枝市出身)はともに初出場。
水泳は6大会連続の河合純一(浜松市西区)ら3人。河合は過去5大会で21個のメダルを獲得した。北京大会50メートル平泳ぎ優勝の鈴木孝幸(浜松市北区出身)は2大会連続の金メダルを目指す。
馬術は推薦選手審査継続中のため代表発表が持ち越されたが、浅川信正(静岡市葵区)の出場が有力となっている。
40年の集大成
浅川信正(静岡市葵区)=馬術= 「この4年間、大会を目指し20回以上も海外遠征した。入院などの苦しい時期もあったが、予選で得点を積み重ねることができた。馬に携わって40年の集大成。今までの経験を生かし、自分の力を最大限発揮したい」
◇ロンドン・パラリンピック県勢選手◇
年齢 所属 住所(出身)
<陸上>
山本篤 30 スズキ浜松AC 掛川市出身
佐藤圭太 21 中京大 藤枝市出身
春田純 34 ウォーターワークス 静岡市清水区
<水泳>
河合純一 37 医療福祉総合研究所 浜松市西区
鈴木孝幸 25 ゴールドウイン 浜松市北区出身
野村真波 27 神戸百年記念病院 静岡市葵区出身
<ボッチャ>
杉村英孝 30 伊豆介護センター 伊東市
<車いすバスケットボール>
藤本怜央 28 フライスウォーターハウスクーパース 島田市出身
<ウィルチェアーラグビー>
若山英史 27 愛鷹クリニック 沼津市
<車いすテニス>
堂森佳南子 37 エイベックス・ライブ・クリエイティブ 吉田町出身
<自転車>
大城竜之 40 都立文京盲学校 浜松市浜北区出身
<馬術>
浅川信正 56 静岡乗馬クラブ 静岡市葵区
※馬術は推薦選手審査中のため出場有力。年齢は大会開幕の8月29日時点。


手と声で愛馬と一つに 浅川信正
馬術を始めて障害を負うまでの35年間、ずっと馬は足で乗るものだと思っていた。足の動きで馬に指示を出し、足で馬の気持ちを感じる。しかし、その足の感覚を失った。馬と心を通わせる別の手段を発見することは、馬術の新しい魅力を教えてくれる。
3歳で馬にほれ込んだ。「馬を買う」と宣言し、貯金を始めたのが一番古い記憶だ。理由は覚えてない。ただ、馬が好きだった。
高校卒業後、地方競馬の厩務(きゅうむ)員を経て馬術選手に。50歳で手作りの乗馬クラブを開こうとしたが、完成間近にバイク事故に遭った。
北京パラリンピックで障害者の馬場馬術(パラドレッサージュ)を視察し、再起を誓った。無理だという医師の言葉をはねのけた。
胸から下、足や腹には力が入らず、初めは馬が動けばひっくり返った。そこで中央に取っ手を付けた鞍(くら)を特注し、左手で握り体を支えた。右手だけで使えるよう手綱とムチも改良し、障害者の競技では認められている「声」で指示を出す。
健常者としての競技経験が豊富だからこそ、歯がゆさを感じることは多い。でも、「馬はまたがった人の実力分だけ動く」。2頭の愛馬を信じ、気持ちを一つに大舞台に挑む。(斉藤寛子)
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あさかわ・のぶまさ 1955年8月8日、埼玉県生まれ、静岡市在住。中3で乗馬を始め、障害飛越で国内トップクラスの成績を残し、2003年に静岡乗馬クラブを開く。05年にバイク事故で脊髄(せきずい)を損傷した。■スポーツ人物館・ロンドン五輪パラリンピック編(馬術)

