遺恨のスキマ決戦 -解かれる二人の正体(Ⅰ)- | Resistance to Despair

Resistance to Despair

絶望への抵抗

<注意!!

当作品は「東方Project」と

「ドラゴンボール」をモチーフとした

二次創作小説です。

原作とは設定が大きく異なります。

 

以上をご理解の上ご覧下さいませ。

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「魔季、やはり向こうで生きていたのね」

 

「フフフ、ようやく真打ち登場ってところかしら?」

 

紫は茶色服の妖怪と言葉を交わした。

 

「わざわざやってきた詳しい経緯を聞く前に、

まずはこの二人を

誰もいない場所へ連れて行きなさい!

このままぶつかり合ったのでは、

この幻想郷にも大きなダメージが残るわ」

 

「だったら、私が作った世界にご案内しましょうか」

 

茶色服の妖怪はそう告げると

超能力を使い、赤茶けた異次元空間を生み出した。

 

 

「なに⁉ まさか、

こいつも紫と同じような能力を…⁉」

 

「私式のスキマ空間と言っておこうかしら。

ケンブラックさん、お姉様、ようこそ」

 

こうして茶色服の妖怪のもと紫、ケンブラック、

そして魔人ベジータは空間に吸い込まれ、

消えていった。

 

「顔が似ていて薄々は気付いていたけど、

やはり紫の姉妹だったのね」とレミリア。

 

「ケンさん、あいつらをやっつけて

無事に戻ってきてほしいな…」と

フランドールはぽつりとつぶやいた。

 

 

 

「これで二人とも心置きなく闘えるかしら?」と

茶色服の妖怪が皮肉な笑みを浮かべながら言った。

 

「あまりいい空気とは思えんが、まあいいだろう。

さあ、来るなら来いよ、魔人とやら…」

 

「では仕切り直しだ。

今日こそ貴様を叩きのめしてやる!」

 

魔人ベジータは激しく攻め立て、

ケンブラックは力加減を巧みにコントロールしながら

敵の特性を探る。

 

「ケンブラックのほうが押され気味だけど、

何か考えがあるのかしら?」

 

紫は魔季の動きを牽制しながらも、

戦況を見守った。

 

「これが最強のサイヤ人の力だ。

オレが殺された人間たちの仇を討ち、

未来を変えて見せる!」

 

魔人はさらに大きく意気込んだ。

 

「ガタガタぬかすな、出来損ないめ!

貴様はおそらくあの妖怪女の能力を借りて

ベジータの身体を乗っ取っただけだろう、

違うか?」

 

「なに⁉ なぜ、それを…」

 

「どうやら図星だったようだな。

オレはかつてザーマスから

神の気と能力の一部を引き継いでいるんだ。

自分が最も憎かった奴の気が入り込んでいることに

気付かんとでも思ったか?

古川トラ…!」

 

「私が改めて説明するわ。

紫も知りたがっているようだから」と

魔季が割り込むように告げた。

 

「まず、私の名前は八雲魔季。

そこいる八雲紫の妹。

今から400年ほど前、私は八雲家の妖怪一族から

破門を受けた」

 

「それはあなたが勝手に人間界の男と

駆け落ちしたからでしょう。

当時の妖怪の世界では御法度もいいところよ」と

紫が割り込む。

 

「幻想郷を作ろうと志半ばで病に倒れた母は

その全権をあなた一人に受け渡した。

 

私達が子供の頃からいつもそうだった。

容姿端麗な姉ばかり可愛がり、

私はまるで失敗作とでも言わんばかりの不遇な扱い。

そんな日々に耐えられなくなった私は

ある日家を飛び出し、

自分の力の足しになるような

人間とエネルギーを探しに街へと出向いた」

 

「そのことが一門にバレて追い出されたってわけか。

確かに人間の目から見れば、

引っ掛かる男が一人や二人いても

不思議ではなさそうだがな…」と

ケンブラックはつぶやいた。

 

「母の後を受け継いだ姉がやがて幻想郷を完成させ、

煌びやかな生活を送る一方で

私は青木ヶ原という森を拠点にして

人間や動物の闇のエネルギーを集め、

復讐を目指すことにした」

 

青木ヶ原といえば、一度足を踏み入れたら

二度と戻って来られなくなると言われ、

日本の自殺の名所として有名な樹海である。

 

「しかし、ある時私が計画を

練り直さざるを得なくなる重大な出来事が起こった」

 

「まさかそれがこのオレの出現とでも

言うつもりじゃないだろうな

 

「その通りよ」

 

~<解かれる敵の正体(Ⅱ)>に続く~