因縁再び -ケンブラックの分析- | Resistance to Despair

Resistance to Despair

絶望への抵抗

<注意!!

当作品は「東方Project」と

「ドラゴンボール」をモチーフとした

二次創作小説です。

原作とは設定が大きく異なります。

 

以上をご理解の上ご覧下さいませ。

 

 

「せっかくだから一応礼は言っておこうかしら。

この時代のあなたと咲夜の力を吸収したおかげで

私は魔力と共に究極の体力をも手中にし、

この世界で他に並ぶ者のない

最強のカリスマ吸血鬼となった。

でも、安心しなさい。

二人は紅魔館の地下で眠っているわ」

 

「その割には今の霊夢を相手に

少々てこずっていた様子だったな…」

 

「一体、何が言いたいのよ⁉」

 

ケンブラックは自信ありげな表情だった。

 

「オレが拳で教えてやろう。

お前とトワの誤算をな…!」

 

「待って、ケンさん。

もう少し私にやらせてよ。

別に完全に負けているわけじゃないし…」と

霊夢が呼び止める。

 

「毎回闘いの度に霊夢をボロボロにさせるわけにも

いかないからな。

ヤツの作戦の綻びをオレが突き、

美夜に止めを刺してもらう」

 

「…そこまで言うなら、

ケンさんに任せるしかなさそうね」

 

霊夢は気を静め、引き下がった。

 

ケンブラックが再びレミリアと視線を交わす。

 

 

 

「フフフ…この私に対して

やれ“誤算”だの“綻び”だの…。

あなた、そんなハッタリを言う

タイプだったかしら?」

 

「その余裕もこれからたちまち消え去るぞ!」

 

ケンブラックはさらに力を開放し、

レミリアに向かっていった。

 

破壊力そのものはヤムリーと対戦した時と

それほど変わらないが、

動きの洗練味が明らかに倍加していることに

霊夢は気付いた。

 

「この感じ、あの時の“身勝手の極意”に

似ているわ」

 

「え、何ですかそれ?」と美夜が聞く。

 

霊夢は以前自分たちの世界でトワや魔王ザーマスと

闘った時の光景を簡単に説明した。

 

「父さんに、そんな能力が…」

 

「本人は『もうあの姿にはなれない』と

言っていたけどね」

 

「そうですか。

でも、もし仮にこのまま無事闘いが終わった後で

修行に誘われても、

私はとてもついていけない。

それぐらい強いですよ、

今闘っている父さんは…!」

 

 

 

元々持ち前であったケンブラックの

カウンター攻撃が効き、

レミリアは焦りとうろたえを露わにした。

 

「こんなことが…ありえない。

最強吸血鬼に返り咲いた私の力が劣るなんて

ありえない!

ましてやブラックと咲夜の力を

プラスしたのよ…⁉」

 

「やはり、オレの思った通りだったか…

知性高き紅魔館当主としては浅はかだったな。

 

お前が吸収したというこの時代のオレと咲夜の気は

おそらく全盛期を過ぎ、

不意打ち的で戦闘状態になりきっていない

たかだか知れたものだ。

つまり、今のオレたちのパワーとは

雲泥の差があるといってもいい。

 

さらに言えば、そんなに未来の幻想郷を

手早く支配したければ、

この超ロゼであるオレと霊夢の能力を吸収すれば

より簡単だっただろうに、それをしなかった。

 

これは想像に過ぎないが、敵と一対一で闘い、

自分の絶対的強さを示そうという美学とプライドが

レミリアの本能にまだ残っているんだろうぜ?

 

レミリアはややうつむいた。

 

~<怒りが生み出した邪気>に続く~