前回の続きです。

 

小河内ダムを後に奥多摩湖湖岸に沿って国道411号(青梅街道)を少し戻ると、途中で山梨県の大月市方向に向かう国道139号線の分岐点があります。

ここで進路を変え、次の目的地である葛野川ダムと深城ダムに向かいました。


葛野川(かずのがわ)ダムは、山梨県大月市の相模川水系葛野川の支流・土室川に建設されたダムで、高さ105.2m、長さ263.5m、堤体積62.2万m3の重力式コンクリートダムです。

東京電力の揚水式水力発電所である葛野川発電所の下池を形成し、ダム湖は松姫湖となっています。


小菅村を経由して葛野川ダムに向かう国道139号線は、ジグザグとした山道で標高1250mの松姫峠もありましたが、今は峠の下を貫く約3kmの松姫トンネルができています。

このトンネルを抜けるとすぐそばに葛野川ダムがあります。

 

ところが、トンネルを出てもダムの案内標識らしきものはなく、またダムらしきものも見えてこないので、そのまま進んで行くと間もなくダム湖が見えてきました。

ただ、これは葛野川ダムではなくて次の深城ダムのダム湖であることがすぐわかったので、トンネルの方へもう一度戻ってみました。

 

葛野川ダムの方へ通じる道は、トンネルを出てすぐのところにありましたが、封鎖で立ち入り禁止になっていました。

葛野川ダムのすぐ間近まできていながら、立ち寄ることは出来ないことがわかり、本当に残念でした。

 

後で調べてわかったことですが、松姫峠を通る国道139号線の旧道は、昨年法面工事が行われていたため通行止めとなっていました。

その後も通行の危険があるため通行止めとなっていて再開時期は不明とのことです。

 

今回のダム巡りの発端は、久しぶりにこのダムを見に行ってみたくなったからです。


葛野川ダムについては、実は私もこのダム工事の関係で少しは携わっていたので、少々拘りをもっています。

工事現場に直接赴任したわけではないですが、工事が始まって間もない平成5年からダムが完成するまでのおおまかな経緯は見守ってきたつもりです。

 

平成5年の秋には約1ヶ月間、現場事務所と宿舎にお世話になったこともあります。

現場では既に掘削が始まっていましたが、急きょ掘削勾配を変更することになり、掘削がストップしました。

このとき、設計変更がらみの件で現場職員とは別に、現場事務所の調査設計課長のもとに4人集まって設計変更業務を行っていました。

 

このダムでは、基礎掘削部会、地質部会、基礎処理部会など5つくらいの部会がありました。

私は基礎処理部会の一員として参加し、年に数回部会が開催され、その都度参加者全員そろって東電の事務所に挨拶がてら報告に行っていました。

 

また、これとは別にダム基礎岩盤の基礎処理の現場注入試験を約1か月にわたり行わせていただくなど、現場の工事事務所や東電にも大変お世話になりました。

 

そういった経緯もあり、このダムには特別な思い入れがあります。

 

ということで、葛野川ダムの現在の姿を目の当たりにして見ることが出来ないのは残念でしたが、その分、深城ダムの後で立ち寄る東京電力の“TEPCO葛野川PR館” の展示でゆっくり見ることにしました。


余談が長くなりました。

次に向かったのは深城ダムです。

 

先ほどの松姫トンネルを出て2kmほど進むと深城ダムがあり、その手前からダム湖が見えてきます。

深城ダムは、山梨県大月市の相模川水系葛野川に建設されたダムで、高さ87m、長さ164m、堤体積22.1万m3の重力式コンクリートダムです。

山梨県営の多目的ダムで、ダム湖はシオジの森ふかしろ湖と名付けられています。

 

上流側道路からダム上流側を望む

 

 

左岸側道路広場よりダム湖上流側を望む

 

 

深城ダム 石碑 シオジの森ふかしろ湖

 

 

左岸側よりダム上流部を望む

 

 

左岸天端より下流側減勢工を望む

 

 

ダム天端より上流側を望む

 

 

長くなったので次回に続く。


参考過去記事:

揚水式発電所は土木の集大成、水力発電の集大成!