介護職の賃金アップ浮上…? | もっと知りたい労働法!

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東京都町田市を拠点に両立支援、労使トラブル、障害年金などに対応、『悩み』を『戦略』に変える労務管理を提案する特定社会保険労務士櫻井三樹子のブログです。日々の疑問や矛盾と戦います!!たまに日本酒でまったりします。

戦後最悪の水準が続く失業率改善の切り札として、介護職員の処遇改善が注目を浴びている。賃金水準の低さが指摘される介護職員の賃金を増額することにより、就職先としての魅力を高め、介護分野の人材確保を図る狙いがあり、政府は年末に向け検討を本格化させる。ただ、8000億円規模に上るとされる財源の検討は手付かずの状態で、議論が迷走する可能性もある。 
(時事通信)


「介護職員処遇改善交付金」が10月から実施されています。2年半という期限付きのこの交付金は、現場で迷惑がられています。


4月に介護報酬のわずかな改定がありました。ですから、経営の厳しい事業所であっても、なんらかの形で職員の給与面で昇給を目指した事業所は多いはず。介護報酬の見直しは3年ごとですから、3年間なんとか支払える範囲での給与の改善を図った事業所にとって、この交付金の条件は厳しすぎるのです。春の改善以上に事業者が人件費を負担しなければ交付されず、実際の交付額は事業者が支出した額を下回ると試算されています。…ということは、春に賃金改善などの努力をしなかった事業所の方が楽に交付金を受けるということになります。また、来年以降には賃金以外の福利厚生の待遇改善が必要ということで、この費用はもちろん事業所負担・・・。すべて事業者の持ち出しなのです。


また、この交付金によって給与等がアップするのは、介護職員だけで事務職員、調理員などの他職員、ケアマネも対象外ということ!また、介護職員の登録ヘルパーの多くは所得税の配偶者控除の範囲内で働いているため、給与等がアップすると働く時間数を減らさないといけない…ということは、事業所はヘルパーの増員が必要になるということです。しかも2年半の期限付きむかっ


この迷惑な交付金…もし、介護職員が直接地方自治体等から交付されるならば、事業者の持ち出しもなくありがたいものとなるのではないでしょうか?


介護職の賃金の増額は、職業として魅力あるものになると思います。しかし、事業所の経営が厳しさを増すばかりでは、元も子もありません。まずはこの交付金をなんとかして、事業所の負担を軽くするべき!財源を確保するのは重要ですが、賃金水準を公平に上げる工夫も必須。無責任な改善は、逆効果のように思えます。


sakurai


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