調査は確定拠出年金の運営管理業務を手がける大手3社の協力で今月初めに実施。同年金に加入している約110万人を抽出して3月末の運用成績を調べた。
(日経新聞)
確定拠出年金とは平成13年10月に創設された、一定の掛金を負担して積立る企業年金制度です。従業員のために事業主が掛金を拠出して、それを従業員が提示される複数の金融商品の中から自己責任で商品を選択し、運用することで、その受取額が変動します(企業型)。この制度を退職金制度とする企業が、大手企業だけでなく中小企業にも増えています。
この確定拠出年金の採用する企業側のメリットは、なんといっても従業員が自己責任で運用するため企業の運用リスクがなく、積立不足による財務負担が発生しません。また、もうすぐ廃止になる適年の移行先として使えます。従業員側のメリットとしては転職する場合、転職先もこの制度を採用していれば年金資産を持ち込むことができます。(ただ、この制度を採用する企業数は増加傾向にありますが、全体から見ると少なく、転職先がこの制度を採用しているとは限りませんね。)
デメリットは…運用がうまくいかなければ、給付額が元本割れになる可能性もあります。また、従業員に投資教育を行う必要があります。そして、中途退職しても60歳まで給付を受けられません。
今回の調査で加入者の63%が元本割れ、利回りは4人に1人が10%以上のマイナスということです。今の情勢では当たり前の現象ですね。この場合、受け取る従業員さんに泣いてもらうしかない、ということです。この制度は「自己責任で運用する」というのが一番の売りです。今のような情勢で運用がうまくいかず、「約束した退職金の額を支払うために積立金の不足分が発生しても、会社が負担しなくてもいい」というものなのです。つまり、会社は退職金の額を約束していないんですね。
退職金って何なんだ…?退職金は必要なのか…?そんな疑問が湧いてきます。