自公、労基法改正合意 月60時間超の

残業割増50%に


2008/ 9/25 asahi.com




 自民、公明両党は25日、現在は一律25%と

なっている時間外労働に対する賃金の割増率に

ついて、月60時間を超える部分を50%に引き

上げることで合意した。国会で継続審議となって

いる労働基準法改正案では、月80時間超を50%

にするとしていたが、議員立法で法案を修正する。

 月80時間という基準は、厚生労働省の「過労死

ライン」と同じため、与野党から批判が出ていた。

このため、与党は6月に60時間超を軸に検討す

ることで合意し、財界や連合などと調整を進めて

いた。

 合意では、施行時期は10年4月とする。急激な

負担増を避けるため、中小企業への適用は当面、

見送る。

管理職手前の労働者を労働時間規制からのぞく

ホワイトカラー・エグゼンプションについて、残業代

の割り増しと同時に議論すべきだとしていた財界側

に配慮し、裁量労働制など事務職にあった制度に

ついては今後、与党内で継続して検討していくとした。


【コメント】

現状の株価や、不況のスパイラルに入る状況が見

えているこの状況で、賃金の引き上げの話は、会社

運営に対して大きな打撃を与える可能性があります。


施行時期については、慎重な見極めが必要になる

と考察します。


割増の残業代と、深夜業務、60時間超業務時間を

合わせて75%増しの賃金を支払うことになるのは、

未払い賃金を更に引起す可能性があります。



特定社会保険労務士 大友

24歳看護師の過労死認定=

人員不足、宿直明けに倒れる

-残業月百時間・三田労基署


東京都済生会中央病院(東京都港区)で

昨年5月、宿直明けに意識不明になり、

死亡した看護師ATさん=当時(24)=

について、三田労働基準監督署(同区)が

過労死として労災認定していたことが17日、

分かった。認定は9日付。
 代理人の川人博弁護士によると、ATさん

は2006年4月から同病院に勤務。

昨年5月28日午前7時半ごろ、手術室の中で

ストレッチャーに突っ伏しているのを同僚が

発見。

同日夕、死亡した。持病はなく、死因は

致死性不整脈とみられるという。
 TAさんが働く手術室はもともと26人態勢だ

が、昨年3月末には18人になった。新人が

補充されたが人員不足の状態は続き、

TAさんは4月から5月にかけ、25時間拘束の

宿直勤務を8回こなしたほか、土日に働くこ

ともあり、残業は月約100時間だった。


【コメント】

あなたの会社は大丈夫ですか?

人事だと思わないで下さい!!


労働安全衛生法の事業主の健康管理責任に

法定労働時間を超えて月100時間以上または

複数月に渡って80時間を超える労働者が

健康上の不安を訴えた場合、事業主はその

労働者を医師の診断を受けさせなければなら

ない。という条文があります。


例え、労働者が健康の不安を訴えなかったと

しても、労働時間が長時間に渡り、労働安全

衛生法の基準を超える場合には、労災になる

可能性が大変大きくなります。


今回の場合弁護士が、付いているので労災の

認定が下ったとすると、次は民事訴訟に焦点が

移ることになります。

今回のケースは病院でも港区ではかなりの大手

の病院であり、支払能力や無くなったATさんが

24歳と将来有望な方であったことを勘案すると、

1億円以上の損害賠償額になり、判決でも1億を

超える賠償額が言い渡される可能性が大です。


【社会の歪み】

日本の医療機関は現在、崩壊に危機にあります。

病院側もけっして金儲け主義だけで、労働者を増や

さない訳ではありません。

特に産婦人科、外科については、医療従事者不足

は必死です。

これを、解消するには政府の本格的な介入が不可欠

になります。

一刻も早く、医療従事者が安心に働ける環境の整備

が必要になります。

医療業務従事者は、各科によって専門性が要求さ

れます。

但し、産科・外科はインターンの間は必須の研修科目

にするべきだと思います。


特定社会保険労務士 大友 務

チョット面白い判例が出ました。


労働契約の際に「言った言わない」要は口頭レベルの約束

そして、前職の賃金を下回らないようにしますよ!と言う約束を

破ったので訴えられたケースです。



賃金未払い・賃金不払い訴訟:日本通運に賠償命令

大阪地裁判決(20080927)



賃金不払い訴訟:日本通運に賠償命令 大阪地裁判決

2008/ 9/27 毎日jp



 「移籍前の職場の賃金を保障する」と約束したのに実際の

賃金は低額だったとして、日本通運に勤務する男性4人が

00年5月~08年1月の差額分約5600万円の賠償を求めた

訴訟の判決が26日、大阪地裁であった。

足立堅太裁判官は「口頭で賃金の同額保障を約束した事実

があった」と労働契約の成立を認定し、日通に約2480万円

の賠償を命じた。


 判決によると、4人は日通系列の運送会社に勤務していたが、

00年4月に日通の関西ペリカン・アロー支店に移籍し、宅配便

の集配業務を担当した。


 日通広報部は「判決内容を十分に検討して対応を決めたい」

とのコメントを出した。



【コメント】

良くあるケースですね!

面接や転籍の際の話で、「前職の給与は保証しますから是非

来て下さい」と言って応募者もその気になり、口頭レベルで承諾

をして入社したケースですが、通常は雇用契約書に給与が書い

てあるはずであり、これをしっかり確認しなかった労働者側にも、

落ち度があると思います。


しかも8年間にわたって、労働者側が放置しているところが、

確信犯的に私には映ってしまいました。