ライフログ | のぶろぐ 第2章 ~湖国滋賀の特定社会保険労務士 松山延寿のオフィシャルブログ~

のぶろぐ 第2章 ~湖国滋賀の特定社会保険労務士 松山延寿のオフィシャルブログ~

湖国滋賀を拠点に活動する特定社会保険労務士のブログです。
これまでは自由気ままなブログでしたが、第2章では私の仕事一本に絞り、書き綴ります。
人事・労務管理のプロが日刊でお届けします!
ぜひご覧ください。



人は生活(ライフ)をしていくなかで、様々な足跡を電子記録(ログ)に残す。

「ライフログ」である。

銀行の出入金記録や鉄道の乗降履歴もそうだ。


見るに忍びぬライフログもある。

今月一日、母親(28)にゴルフ練習用具で殴られ亡くなった…略…は、生後すぐ乳児院に預けられた。

以来、親元と児童相談所を行ったり来たりの成育歴は「虐待史」と言っていい。


芥川龍之介の短編「河童」に、夫が出産間近の妻のおなかに声をかける場面がある。

「お前はこの世界へ生まれて来るかどうか、よく考えた上で返事をしろ。」

子供はこう答える。

「僕は生まれたくはありません。」

神奈川県でも、2児が母親の手にかかって亡くなった。

子に「生まれてよかった」と言わせる人の世にせねばなるまい。


…略…は亡くなる2日前、運動会で放送係を担当していた。

友達に囲まれ、秋晴れのような笑顔を浮かべていた姿が目撃されている。

悲しいだけの人生ではなかったと、少女のライフログに加えたい。


行政で、学校で、社会全体で、命を救えなかった無念と反省も込めて。



読売新聞 平成24年10月10日付朝刊『編集手帳』より