1990年代は社員の人事制度改革より遅れていて、地味に批判の対象になっていることが多かった「役員人事制度」、今では少し事情が変わっているようです。
サンプル数が少なく、統計データとしては鵜呑みにできないと思いますが、『労政時報』の調査からその変化のさまが見て取れます。
①役員の報酬カット
⇒過去2年間に【平取締役】の役員報酬をカットした会社56.1%
以前は「役員にも生活がある」と言って、賞与はともかく報酬カットには消極的な会社が多かったので、この数字は(近年の特殊な事情があるとはいえ)少し驚きです。
②役員退職慰労金制度の廃止
⇒「制度なし」の会社60.3%
所得税の優遇措置があることから、役員報酬の後払いとしてまだまだ根強い人気があるのかな、と思いきや、半数以上の会社が廃止しているのが現状です。もちろん、単なる廃止ではなくほとんどのケースで基本報酬への組み入れなどの代替措置がとられています。
これについては、「株主総会で否決の可能性がある退職慰労金よりも基本報酬で受け取っておいたほうがリスクが少ない」という役員にとってのメリットもあります。
③役員定年制の実施
⇒常勤役員に定年を設定している会社69.8%
裏を返せば、経営陣がかなり高齢化してきているということでしょう。オーナーの割合も多い会長、社長は定年なしとする会社が多数派ですが、それ以外については概ね60~65歳定年とする会社が相当増えてきています。経営陣の新陳代謝で環境変化に対応しなければならないという危機感の現われとも言えると思います。
以前は、役員人事というと社長の専決事項でしたから、色々なしがらみや人情などで思い切ったことはしにくかったのですが、近年は社外取締役などで構成される「報酬委員会」「役員人事委員会」等を設置して、客観的な見地から役員への処遇を決定するしくみが整ってきたことで改革が進んでいるということでしょう。
これらは、いいことだと思いますが、会社の幹部クラスの処遇がどんどん厳しくなって「出世してもあまりいいことはないな」という風潮になるのも喜ばしくないなぁ・・・・・と個人的には思ってしまいます。そのへんのバランスをどうやってとるのかが今後の課題でしょうか。